『生涯投資家』を書いた村上世彰氏。『多動力』がベストセラーとなっている堀江貴文氏。対談の3回目は、ふたりが考える未来、それぞれが目指していること、そして世の中を変えるために必要なこと。

「お金なんて必要ない時代」に必要なこと

村上 堀江は「もうお金なんていらない時代」と言うけど、例えばどういうこと?

ADVERTISEMENT

堀江 オキュラスVRっていう、バーチャルリアリティーのデバイスの今のムーブメントを作ったデバイスがあって。これは数年前にパルマー・ラッキーという18歳の子が、スノーボードのゴーグルを改造して、Androidのスマホ2台とレンズをパソコンにつないだものから始まってるんですよ。それでクラウドファンディングしたら大反響で、たしか7〜8億円ぐらい集まって、2年後にはFacebookが20億ドルで買収した。

村上 それはすごい。

堀江 こういう時代になってくると、世の中の流れを見ながら新しいプロジェクトを立ち上げる、チームを作るビルディング力を持つ人間、サービスを立ち上げて、「これすごいよね」って言われるやつが強い。だから、大事なのはお金じゃなくてアイデアと実行力。

村上 そういう意味では3年前か4年前に初めて一緒に、堀江の勧めで投資したよね。バーチャルリアリティーでひとつ、キュレーションメディアでひとつ、フィンテックでひとつ。やっぱりなかなか理解できなかったから、それまでだったら投資しようとは思わなかったと思う。でも、やってみようと思い切ってお金を入れた。そういうことを始めました。

堀江 そうそう、そういうふうにどんどん変換していかないと。

「大事なのはお金じゃなくてアイデアと実行力」

変化しない日本の企業文化

村上 堀江はもう一度テレビ局をやりたいって本の中で書いていたけど、テレビ局の人に変わる意味があるのかというと、あまりない。変わって得する人がそんなに居ないから。そうだとすると、変われないよね。そこは仕組み自体を変えないと結構しんどいよね。

 そういう意味でひとつ聞きたいんだけど、なんでニッポン放送の時、途中で折れたの? 最後までやってくれればよかったのに(笑)。

堀江 だって、僕が社長を解任されそうになってましたから。戦いようがないでしょう。取締役会で僕は1票しかないんですから。

村上 じゃあ、もしその時に賛成してくれる人がマジョリティだったら最後までやった? 

堀江 はい。そう思いますよ。

村上 そうか。それにしても、これは本にも経緯を詳しく書いたけど、ニッポン放送は自分の持っている大事な資産を別の人に預けるという絶対にやっちゃいけないことをしたから、まあ、それは驚きましたね。そこまでやるんだと。本当は代表訴訟問題になってもおかしくない。そういう企業文化がまだ日本の中にあるんでしょうね。それを淘汰するのは株式市場であり、コーポレートガバナンスだと思ってます。そこだけは変えないとこの国はよくならない。だからちょっとずつ、あんまり目立たないように言い続けていかなきゃいけない。

コーポレートガバナンスを変えないとこの国は良くならない

堀江 僕はもうそこは超越しました。

村上 してるよね。日本の企業文化を変えるのはなかなか難しい。