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東武動物公園駅前にある「ごわっとして掴みにくい」絶品そば

小麦粉は大衆そば誕生のゆりかご

2017/07/04

genre : ライフ, グルメ

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1分ほどで太く平たい麺がどっさり

 お品書きをみると、もりそばが380円と驚く安さだ。他にもそばすいとん(950円)、なべ焼きそば(980円)、きのこ丼(750円)などの他ではみないメニューがある。お持ち帰りのそば弁当、うどん弁当や、生そばセットなどもあり、しかもとっても安い。

 

 まずは大もりそば(580円)を注文した。するとほぼ1分で登場。その麺の姿をみて目を見張った。乱切りした手打ちうどんのような太い平たい麺がどっさりとせいろにのって登場したのだ。早速箸で持ち上げてみると、ごわっとしていて掴みにくい。断ち切りの手切りだろう。

 小さめな猪口に不器用にそばを入れ辛汁に付けて早速食べてみると、しっかりそばの香りが口に広がる。辛汁は江戸の濃いタイプとは違い、ややあっさりとしてこの太麺とよく調和している。この麺は竜泉の「角萬」や浅草の「翁そば」に近いが、それら以上に田舎っぽさが残っているし、硬すぎることはない。聞くと蕎麦粉4割、小麦6割で打っているそうだ。蕎麦粉は北海道産というが、小麦粉は地粉も使っているのだろう。小麦の旨さが蕎麦全体を格上げしている。

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もりそば

 辛汁が少なくなったお客さんには机上に大きな徳利が常備されており、いつでもつゆを補充できる。粋な江戸っ子のように食べることができない私にとっては大変ありがたいサービスだ。ネギも地物だろうか、香りが高くつゆによく合っている。