田舎のおかあさんの打ったそばはうまい。

 小麦粉を上手に使っているからだ。それが評判になって大衆そば屋をはじめたという店も多い。

 つなぎとして使用される小麦粉は、大衆そば誕生のゆりかごということができる。 

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 小麦とそばを作付けしていた地域としては、埼玉、群馬、栃木あたりの北関東、北海道、山形、岩手、岐阜や長野などがあげられる。

 その中で、大衆そばの名店といえる店が埼玉県宮代町、東武動物公園駅からすぐにある「一茶宮代」である。岐阜の「更科」と、ここ「一茶宮代」は大衆そばの名店だと考えている。

「一茶宮代」は昭和48年頃、女将さんの戸張みち子さんが始めた店だ。

「一茶宮代」のそばは異次元の麺である。田舎そばをはるかにしのぐ太い手切りの麺で、世界中を探してもここにしかないだろう。地元では相当な人気店だ。

 東武動物公園駅を降りると、そこはまさに関東平野の中心だ。田園地帯が広がっている。西口のロータリー広場からまっすぐ続く駅前通りを歩いていくと3分程。左側の路地を入ったところに店はある。店の看板には大きく「昔の味」「本気で打った本当のそば」と掲げられている。店は広く、昼時に行けば、ほぼ満席。年配の方が友人やご夫婦で来店し、なごやかにゆっくりとそばを食べている。