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それぞれが推す「時代遅れの制度を変える抜本的提案」

――みなさんそれぞれの「推し提案」を1つずつ挙げるとすると?

今村 53ページに小さく記載している「投票ポイント寿命比例制」はかなり前から疑問を持っていたことへの一つの解でした。子どもへの投資を重視するということともつながるんですが、これから生きていくであろう年数がまったく違う人達が、日本の未来に対して同じ1票を持つことが本当の意味で平等なのかという問題意識です。

今村啓太さん(H26入省/27歳 商務情報政策局 メディア・コンテンツ課 総括係長)

菊池 私は1個に絞るのは難しいんですが、「子供や教育に最優先で成長投資」のゾーンはすべて、ですね。

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高木 僕が提案したのは「おとな学校」です。これはニッセイ基礎研究所の方の論文を読んで知ったアイデアなんですけど、100年かけてスキルを磨き続ける時代に、どこかのタイミングで再度義務教育でスキルを磨き直す、というものです。65歳からさらに35年人生が続くとしたら、そこから必要なスキルは22歳のときとはまったく違う。義務か任意かは別として、このコンセプトはすごく共感するものです。

上田 僕は「イノバック」というスタンフォード大学とメイナー市という街が社会実験を行った地域通貨です。地域通貨といっても、例えば行政に施策を提案したら何ポイントかもらえるんですけど、換金できるわけでもないんです。ポイントが貯まると一日署長ができるとか、純粋な名誉の面が大きい。感謝と名誉で世の中がある程度回る、という実験だったのです。とはいえ小さな街の話なので、我々がそのまま企画してもまずうまくいかない。でもこういう世の中があるんだ、と知ったのは衝撃的でした。

上田圭一郎さん(H18入省/33歳 大臣官房秘書課 課長補佐)

いまみんな「フィールドワークしたい病」なんです

須賀 地域通貨にも関連しますが、このペーパーで踏み込みきれていないのは地方と地域なんですよね。

上田 そうですね。冒頭の社会不安のところにも、地方の話は入っていない。何回か議論はしたんですけど、われわれがあまりにも地域の話を知らなさ過ぎて、書きようがなかったんです。だから一度はわれわれの見えている世界だけで書こうとなったんですけど、「地方の現実とは違う」という批判はかなりいただきましたし、まだまだ狭い世界で話してるなと改めて思いました。僕は地方の出身ですけど、そこは忸怩たるものがありました。これからきちんと取り組んでいきたい。

須賀 50ページに「地方は都市が支えるもの」という言葉が入っているんですが、中央からお金を分配しているだけではなく、「ユニバーサルサービスはこうあるべき」という都会のスタンダードを押し付けている面があると思うんです。「実際の地方はもっと不安です」という声から、「限界集落でもハッピーなところはありますよ」という声までいろいろいただいて、全然一律ではないことは明らかです。だからいま、メンバーたちはみんな「フィールドワークしたい病」になってるんです(笑)。もっと見たいしもっと知りたい。

須賀千鶴さん(H15入省/36歳 商務流通保安グループ 参事官室 政策企画委員)