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黒木が中継ぎながら既に5勝を挙げている「福良関数」

 「勝利の方程式」に固執してしまえば不思議とも思える福良淳一監督、星野伸之・平井正史投手コーチの投手起用。しかし、結果的に相手より1点リードで9回を終える為の最善策と思えば合点が行く。相手にチャンスが訪れるタイミングで良い投手に継投するのである。相手チームの打順によっては左右の兼ね合いから登板順も変わってくるだろう。しかし「勝ちパターン」「敗戦処理」に影響されず、常に1点リードを求めに行くのだ。まさに「福良関数」ではないだろうか。そしてそれは、許されるケースでの失点も視野に入れての継投なのだろう。

勝利の方程式に固執していない? 福良淳一監督 ©時事通信社

 勿論、酷使による故障を懸念しない首脳陣などいない。経年による疲労もじゅうぶんに加味した上で、近藤、黒木両投手だから出来る今年の継投なのではないだろうか。黒木投手が中継ぎながら既に5勝を挙げている事からも、いかに大切な局面で登板しているかが窺えるはずである。福良監督が我々ファンにメッセージを発してくれる機会が異常に少ない為、我々ファンにその合理性が浸透していないだけで、実はこの「福良関数」、ものすごく理にかなった戦術なのではないだろうか。

 WBCでの平野投手の起用に最初は疑問を感じていた我々Bsファン。しかし、我らが守護神・平野投手は重要な「火消し役」として侍JAPANの幾多のピンチを救ってくれた。侍JAPANの「勝利の方程式」に平野投手が加わらない事への疑問より、いつしか権藤コーチの平野投手への信頼の大きさを強く感じ、誇らしげな面持ちで侍JAPANの幾多のピンチを見届ける事が出来たはずである。

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 今度はこのパ・リーグペナントレースに於いて各投手が「火消し役」を担う番がやってきた。もう「勝利の方程式」は要らない。「y(自チームの得点)=x(相手チームの得点)+1」なんだ! 「福良関数」なんだ、バファローズ!!

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