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小兵よガンガン打ちに行け――ベイスターズ柴田竜拓を応援したくなる理由

文春野球コラム ウィンターリーグ2020

2020/02/05
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積極的に打ちに行く傾向が強まってきた柴田

 まあそれはそれでいいのだが、昨年の夏あたりから、柴田はサーバーの小説に出てくるパール・デュ・モンヴィルのごとく、四球を狙うより積極的に打ちに行く傾向が強まってきた気がする。しかもその果敢な打撃は、ここはパール・デュ・モンヴィルとは違い、決して悪くない確率でヒットや長打になるのだ。昨年のクライマックスシリーズのファーストステージ、阪神との第1戦、満塁でタイムリーを放った姿などは単純にほれぼれとさせられた(あの試合、結局6点差をひっくり返されて負けてしまいましたが……)。今年もガンガン打ってレギュラーの地位を獲得してもらいたい。電話で名前を伝えるときなど、シバタ、と言って「どういう字ですか」と訊かれたときに「ベイスターズの柴田と同じです」と言えば伝わるようになってほしい。

今年もガンガン打ってレギュラーの地位を獲得してもらいたい ©文藝春秋

 テレビで観ていると、柴田は筒香と仲がよさそうである。今年はその筒香がベイスターズから抜けてしまい、柴田への影響が気がかりだが、むろん筒香の大リーグ行きについては、柴田のみならずチーム全体への影響が気がかりと言うべきだろう。選手としての実力はもとより、精神的にチームを引っぱっているという面も見ていて大いにありそうだったから。

 もちろん僕としても筒香が抜けるのは残念だが、ただ……チームとしてのバランスから見ると、ひょっとしたらプラスにはたらく可能性もなくはないのでは、と思う。主軸打者4人のうち3人が、かりに相撲取りになっていたとしてもおかしくない体格というのは、やっぱりちょっと問題ではないか。筒香、ロペス、宮崎、みんなよく打つのだが、走塁はあまり期待できず(3人よりはよほどスリムなソトも、走塁という点では似たり寄ったりである)、このチームは何本ヒットを打てば点が取れるのか、と思ってしまうことも一度や二度ではない。俊足巧打の選手がのびれば(あるいは梶谷あたりが復活すれば)バランスとしてはよりよい打線が出来上がるのではないか。

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 加えて、黄金の左投手陣(今永、濵口、石田、東)のうち3人が好調を保てば、そしてソトの全盛期が続きロペスにまだ下り坂が訪れなければ、そうして何より、柴田がガンガン打って積極的に盗塁もして守備も華麗に決めれば……とまあやたら「れば」が多いのだが、そうしたら、今季は優勝のチャンスも大いにあるはず――と、毎年似たようなことを言っている気もするのだが、まあとにかく、筒香がレイズで活躍し、筒香なきベイスターズも快進撃、という虫のいいシナリオを実現して、ラミレス監督を――そしてついでにスターマンを――胴上げしてほしい。

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