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オスカーは「最も優れた作品が受賞するとは限らない」

――そして大きな反響を呼ぶことになりましたが、ラジオのリスナーはどういう部分に興味を抱いたんだと思いますか?

Ms.​メラニー 宇多丸さんが面白がって下さるのは理解できるんです。あれだけ映画がお好きな方だから。でも、ラジオリスナーの皆さんがどこを面白がってくれているのかは、いまだに自分でもまったくわからないです(笑)。ただ、私がラジオに出演している時って、スーさんが同時中継状態でTwitterにいろいろ書いてくれるんですね。そのツイートを楽しみにしているというリスナーも多いみたいです。

 

 いずれにせよ、「いままでオスカーに興味がなかったけど授賞式を俄然見たくなった」とか「興味が湧いてきた」とかツイートしてくれた人が大勢いるのは嬉しいことに違いないです。おそらく、そういう風に書いてくれた方々の中には、これまで映画にそれほど興味がなかった人もいるのかなって思いますけど、少しでもオスカーや映画に目を向けてくれたという意味では嬉しいですよね。

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――オスカーは「最も優れた作品が受賞するとは限らない」など、Ms.メラニーならではの名言や着眼点が人々に刺さったということでしょうけど。

Ms.​メラニー やっぱり、ピンとこないですね。今回、本を書くにあたってもなにを書いたらいいのやらって。読む側になにを求められるのか、ずいぶん試行錯誤しました。「私が面白いと思うことと、読み手が面白いと思うことは違うんじゃないか」という思いはずっとありました。だから、最終的には書きたいことを書いただけになりましたけどね(笑)。

ここまでのブレイクはぜんぜん予想できなかった

――ライフワークが“オスカー予想屋”として本当の仕事になってラジオに出演するだけでなく、本まで執筆してしまう。ここまでのブレイクを予想できましたか?

Ms.​メラニー ぜんぜん。でも、文章を書いたり読んだりするのは好きなので、本を出版することは私の夢の一つだったというか、漠然と「いつか本を書いてみたいな」と思ってはいました。だけど、現実に書く機会に恵まれることなんて考えてもいなかった。スーさんが最初の本『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』を出して売れた時もビックリしたんですよ。というのは、昨日までファミレスで彼女と一緒に話していたような内容、私たちにしてみれば普段から話題にしているなんでもない事柄が本になってしまうなんてすごいなって。彼女に文才があるのは知っているし、面白さは格別だったから、いまみたいな大物というか世に出ることは想像に難くはなかったけど、本の内容に関してはそういうことがありえるんだなぁって。

©iStock.com

 でも、私にもそういうことが起きた。しかも、内容は自分にとってはなんでもない日常の事柄であるオスカー予想。もう、これにはただただ驚くだけですよね(笑)。

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聞き手・構成=平田裕介
写真=末永裕樹/文藝春秋