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《ゴーンショックが終わらない》前代未聞の弁護士ガサ入れも、検察関係者は「逃亡責任は、むしろ高野氏だ」

2020/02/10

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

 日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告の逃亡劇の余波が続いている。その中で最大のインパクトは、”無罪請負人”と呼ばれ、検察側が「因縁の相手」と敵視してきた弘中惇一郎弁護士の法律事務所に、東京地検が捜索に入ったことだ。「ゴーン元会長を逃がしたペナルティー」とも印象づけられる屈辱的なガサに、「本当に悪いのは弘中氏なのか」と同情する声も漏れ聞こえる。

東京地検による家宅捜索を受け報道陣の質問に答える弘中惇一郎弁護士(1月29日、東京都千代田区)©時事通信社

 弘中氏は東京大卒。1967年に司法試験に合格し、70年に弁護士登録した。一躍名をとどろかせたのは、ロス疑惑銃撃事件で三浦和義被告(当時、故人)の弁護人として勝ち取った無罪判決だ。以後、薬害エイズ事件で安部英被告(当時、故人)の1審無罪を導くなどした。郵便不正事件で厚生労働省局長だった村木厚子被告(当時)の無罪を得た公判では、大阪地検特捜部の証拠改ざんが明るみになり、特捜検察を最大の窮地に追い込んだ。以後、東西の地検特捜部は何年にもわたって大型の事件を手がけられない「冬の時代」を迎えた。

 今回、ゴーン元会長の弁護人として弘中氏が登場した際も、検察は「宿敵が来た」と覚悟を決めた。ただ、検察内部には「エース中のエースと言われる森本(宏・東京地検特捜部長)なら、弘中氏にも負けることはない」との安心感もあった。とはいえ、ゴーン事件における「最強の特捜部長VS最強の刑事弁護人」の対決は、公判の長期化は避けられない状況にあったものの、大きな注目を浴び続けるだろうと推測された。

森本特捜部長 ©時事通信社

 そんな最中のゴーン元会長の逃亡だ。結果的に最大のダメージを受けたのが、弘中氏になってしまった。東京地検は1月29日、逃亡に伴って弁護人を辞任していた弘中氏の事務所に捜索に入った。弁護士自身が犯罪をして家宅捜索を受けるのならまだしも、弁護人として捜索を受けるのは前代未聞だ。