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日本在住23年 中国人留学生が「日本そばの達人」になり、東京に名店を出すまで

2020/02/18
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 そしてその後、店主は中国出身の兪明(ゆうみん)さんと聞いてさらに驚いた。こんなにうまいつゆと天ぷらを作れる日本そばの達人が日本人以外にもいたのかと至極感心したわけである。

 なぜ兪明さんはこんなに旨い味を提供できるようになったのか、その経緯を聞いてみた。

 兪明さんは1997年に留学生として来日。それからずっと日本在住である。その間、飲食の修業を積んで、出汁の繊細さ・うまさに開眼したという。

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「そばをすすると、真っ先につゆの香りが立ち上がります。そのうまさがたまらなく好き」になったそうである。

兪明さん(43歳)は日本料理、特に出汁とつゆにほれ込んでしまった

9年前に立ちそば屋の店主に

「福そば」はもともと老舗そば屋が始めた店で、兪明さんはその老舗そば屋で働いていた。昨年12月に急逝した「あきば」の店主、石月準二さんにも指導を受けたそうだ。

 そこで返し、出汁の引き方、天ぷらの技術などをたくさん習得した。そして、その老舗そば屋が「福そば」を閉めるというので引き継いだのが2011年。

 新生の「福そば」では自分のやりたいように天ぷらやつゆの作り方に改良を重ねて、次第に人気になっていったという。