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「あしたなんて説明しよう」 安倍政権“疑惑大臣ツートップ”の説明を振り返る

「メモはない」「報告は受けてない」 真摯な説明責任はない

2017/07/22

genre : ニュース, 政治

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小泉進次郎 自民党・衆院議員
「フェイクニュースの極み」

カナロコ 神奈川新聞 7月20日

小泉進次郎氏 ©杉山拓也/文藝春秋

 内閣支持率が下げ止まらない安倍晋三首相にとって、政権浮揚の起死回生の一打となるかと注目されているのが、8月3日に予定されている内閣改造だ。

 その目玉として名前が取り沙汰されているのが、自民党の小泉進次郎衆院議員である。小泉氏は神奈川新聞の取材に対し、内閣改造で初入閣する可能性について「ない」と否定し、「この時期の人事報道ほど当てにならないものはない」などと語った。官房副長官を予測する声に対しては、「フェイクニュースの極み」と笑いながら切り捨てた。

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 また、安倍政権は一貫して“女性活躍推進”を掲げており、松島みどり元法相(うちわ配布疑惑で辞任)、小渕優子元経産相(政治資金規正法違反の疑いで辞任)、稲田朋美防衛相など、積極的に女性閣僚を登用してきた。そこで小泉氏の代わりの目玉人事として、厚労大臣の要職に三原じゅん子参院議員を起用するという案が浮上してきているという(『週刊新潮』7月27日号)。三原氏といえば「八紘一宇」発言や「神武天皇は実在の人物」発言などが話題を呼んできたが……。

蓮舫 民進党代表
「手続きを怠っていたことは事実で、反省している」

NHK NEWS WEB 7月18日

蓮舫 民進党代表 ©三宅史郎/文藝春秋

 民進党の蓮舫代表は「二重国籍」問題をめぐって記者会見を行い、昨年10月に日本国籍の選択を宣言したことが記されている戸籍謄本の写しの一部などを公開した。

 昨年9月の民進党代表選挙に立候補した際、「二重国籍」について指摘された蓮舫氏は、台湾当局に確認した結果、昭和60年に日本国籍を取得した後も台湾籍が残っていたことが確認されたとして謝罪した上で、台湾籍を離脱する手続きが完了したと説明していた。今回の記者会見では、これまでの説明を裏付ける資料として、台湾当局から交付された「国籍喪失許可証書」の写しと、戸籍謄本の一部の写し、台湾旅券を公開している。

 会見で蓮舫氏は「野党第1党の党首として、現政権に強く説明責任を求める立場であることを勘案して公表した」「去年、指摘を受けるまでは疑ってもいなかった。公職に就く者として深く反省をしている」と語ったが、対応が後手に回った感があるのは否めない。

 一方、蓮舫氏の二重国籍問題について追及し続けてきた評論家の八幡和郎氏は、「この公開は不十分」とし、「台湾への渡航が日本旅券で行われたことを示す日本旅券の当該ページ」の公開と、蓮舫氏の子どもをはじめとする家族の国籍の問題について明らかにするように求めている(アゴラ 7月19日)。インターネットにはさらに蓮舫氏を追及する声も少なくない。

 今回の蓮舫氏の会見は、都議選の大敗を受けて党内から説明を求める声や批判が上がっていることに配慮したものと見られているが、立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏は「都議選の大敗と蓮舫氏の問題は関係ないでしょう」とバッサリ。「民進党の中には都議選で負けた責任をとりたくない人たちがいて、蓮舫氏の国籍問題で負けたことにすれば責任追及から逃れて退陣しなくてすむというわけです」と分析している(ホウドウキョク 7月20日)。

「幹事長を受ける人はなかなかいないのではないか」

 そもそも二重国籍は本当に問題だったのか? 中央大学法科大学院教授の奥田安弘氏は、「二重国籍だった場合、政治家、あるいは野党第1党の党首や総理という立場にはなれないのでしょうか?」という質問に対して、「現在の法律を適用した場合には何の問題もありません」と回答している(『荻上チキ・ Session-22』 7月13日)。

 昨年10月、日本維新の会が「国籍選択をしていない者は被選挙権がない」「管理職公務員になれない」といった内容の法案を提出したが、審議未了で廃案となっている。また、奥田氏は「公職選挙法では日本国籍のみが要件であり、外国国籍を持っていても問題とはなりません」とも解説しており、経歴詐称の疑いについても「学歴の詐称」などと同列に扱えるものではないという見解を示している。

 今回の件で民進党は足並みの揃わなさをあらためて露呈した。蓮舫氏は野田佳彦幹事長を含む執行部を交代させる意向を固めたが、自身は続投するという。民進党の閣僚経験者は「幹事長を受ける人は、なかなかいないのではないか」とコメントしている(日テレNEWS24 7月20日)。浮上への道のりは遠い。