三菱商事、ソデックス、ローソン、サントリー……。私は社会人になってからこれまで、商社、外食、小売り、製造業と、さまざまな場所で仕事をしてきました。私がそこで何を考え、なぜ挑戦し続けることができたのか。現在までのキャリアの中から、本当に役立つエッセンスをこれからお話ししたいと思います。

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若い人たちがもっと主役になれるような社会に

 日本経済は今後、どうすれば本当の活力を取り戻すことができるのでしょうか。どんな国であれ、若年層の活力がない国は滅びてしまいます。それは過去の歴史を見ても明らかです。現在の日本は確かに世界的に見てもトップクラスの豊かな国です。多くの識者も日本経済の強さについて自信を取り戻すように主張しています。

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 しかし、それでも何かが足りないのです。年齢の高い人なら過去の自分の経験で生きることができますが、未来を見て新しいことをやっていくほうが誰だってワクワクするはずです。そうした新しい活力が今、日本経済、そして我々の生きる社会に必要なのではないでしょうか。

 それには、若い人たちがもっと主役になれるような社会にしなければなりません。働き方改革においても、高齢者や女性が参加し、生産性を上げていくというのは、若い人たちが中心になることが、まず大前提だからです。

GDPで日本の活力を測らない

 とくに、これからは20~40代の人たちがバリバリ働ける場をつくっていかなければならない。日本人全体が、今そうした社会を目指す気持ちになっているかどうか。まさに分水嶺のときなのです。本当の意味での活力とは、生きている喜びから生まれます。そうした活力を若い人たちが持つというのは、GDPの数値を見て日本経済の活力を測るような方法とはまったく異なるものなのです。

 今の20代の若者たちは、上の世代と比べて変わっていると言われます。彼らは経済が成長しない中で、若年期を過ごしてきたため、節約志向が強く、車も買わない、家も買わないと言われています。バブルを経験した世代と比べて派手さもなく、消費を牽引することもない。まるで活力のない世代のように見られることがあります。

 でも、実際にはそんなことはないのです。例えば、ベンチャー企業を見れば、昔より明らかにベンチャーを志向する若者が増え、新しいことをどんどんやり始めています。例えば、アメリカのAirbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー)などシェアリングエコノミーの新しいアイデアの世界というのは、若い人たちがつくった世界です。日本でもそのような事例が増えています。

 消費でもそうです。例えば、ハンバーガーでも本当においしくて意味があるものには、高くてもお金を出しています。つまり、質と意味があるものにはお金を払う。そうじゃないものにはお金を払わないということなのです。今後、そうした消費マインドが変わっていく局面において、若い人たちがどんどん新しいアイデアを出していけば、もっと社会の活力は高まっていくはずだと私は考えています。