音楽、ファッション誌などで活躍し、グラビア写真でも高い評価を得る写真家・笠井爾示(ちかし)さん。今回出版したのは、2011年から6年間、プライベートで撮り溜めた女性の写真、約380点を集めた『東京の恋人』(玄光社)だ。

「僕は写真家の荒木経惟さんやナン・ゴールディンさんに影響を受けて、20年以上、毎日写真を撮っています。風景でも何でも撮っていて、女性は全体の1割ぐらいですね」

 本書には、一般女性、モデル、女優、セクシー女優などが約60名も登場する。モデルとして募集し、対価を払って撮影した女性は一人もいないが、被写体の多くが、ラブホテルなどで極めてプライベートなエロスを露わにしている。男なら嫉妬さえ覚えるが、

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「僕は本来、とても内向的な人間(笑)。女性にも強いコンプレックスがあるんです」

 と意外な答え。ではなぜ、このような写真が撮れるのか。

「二人きりで写真を撮るのは、日常とも、セックスとも違う。二人で飲んでいる時、歩いている時、遊んでいる時には得られない艶かしさを捉えられるのは、写真しかないと思います。それに、女性も意図せずしてそうなってしまうんです。僕はそんな意図を超えた自分の写真に驚きたい。そして、被写体にも、読者にも驚いて欲しいですね」