SDGs問題も、人口減少が究極の解決策となる

 書店に立ち寄ると、最新テクノロジーがもたらす未来予測を描いた書籍が花盛りである。人工知能(AI)が急速に発達し、政府までもが10年後、20年後に“夢のような社会”が到来するかのような報告書をまとめている。

 しかしながら、テクノロジーの未来予測は難しい。近い未来の話か、それとも遠い未来の話なのか、タイムスパンをどう設定するのかによって見えてくるものは大きく変わる。

 それは、人口減少の影響の未来予測においても同じだ。SDGs(持続可能な開発目標)が提起する問題もタイムスパンをどう置くのかによって対応策は違ってくる。状況が悪化を続けるであろう2050年頃までと、人口が減り始めると予測されるそれ以降とでは大きく異なる。SDGsが課題に挙げたのは、貧困、飢餓、エネルギー問題などだが、その大部分が、人口が増えていることで起きている。となれば、究極的には人口爆発の抑制こそが有用な対策ということになるからだ。

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 たとえば、SDGsの課題の1つである食糧問題を例に挙げよう。数十億人の単位で人口が増え続ける2050年までは、地球規模での食料不足となり、国家間での争奪戦が懸念される。しかしながら、2050年以降に地球人口が減ってゆくとなれば消費量も減る。その減りようほどに生産高が落ち込まなければ、争奪戦は収束するだろう。

 このように、SDGsが掲げるこうした問題の多くは解決に向かう可能性がある。さらに極論をいうなら、SDGsの課題を解決するには、遠回りのようでも、女子教育に力を入れてバースコントロールの考え方を普及させればよいのかも知れない。それはさておき、「地球環境に関わる課題は、21世紀前半に特有の問題だった」と未来から振り返られることだろう。そして2050年以降は、地球人口激減へどう対応すべきかへとアジェンダが変わるに違いない。