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中学生が小学生に野球を教える……仁志敏久の狙いとは 「みらいの侍in島根」レポート

文春野球コラム ウィンターリーグ2019-2020

2020/02/23
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「このメンバーで野球がしたいな」と感じてくれたら

 自身も大田高で甲子園を目指し、今回のイベント開催にも尽力した波多野圭吾(はたの・けいご)さんは言う。

「大田市内の小・中学生に力があるのに、高校ではバラけてしまう。個人的にはそれがすごくもったいないことだと感じていて。ずっと一緒のチームにいる仲間、同じ市内で戦ってきたライバルたちと甲子園を目指して戦うのは、すごく魅力的だと思うんです。自分の憧れの高校があって、そこで甲子園を目指したい。それは素晴らしいことですし、私が否定することはできません。でも、目標が『甲子園出場』なら、大田の子どもたちが一堂に会せば十分チャンスはある。今回のイベントに参加した中学生や小学生たちが『高校でもこのメンバーで野球がしたいな』と感じてくれたら嬉しいなと密かに思っています(笑)」

開催に大きく尽力した波多野圭吾さん 提供/井上幸太

 かつては大田一中を、現在は大田西中を率いる俵拓夫監督も、長く大田市で野球に関わってきた経験を交えて、こう語る。

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「たしかに大田の子どもたちを見ていると『この子たちが同じ高校でやっていたら……』と考えることはありますね。島根県から甲子園に出たチームを見ると、ほぼ毎年と言っていいぐらい大田の子がメンバーにいることも一時期あったぐらいで。今回、同じ市内の他の中学校と交流して、『同じメンバーで高校野球をしたい』と感じてくれたら、すごく喜ばしいことだと思います」

 終了後、参加選手に話を聞くと「(大田市外に)憧れている高校はあります」と率直な思いが返ってきた。しかし、その後にこう付け加えてくれた。

「今日他校の選手と一緒に活動したことで、『高校で一緒にやるのもいいな』という気持ちも芽生えました」

 大田の小・中学生がキラキラとした眼差しで野球を楽しんだ一日が、今後彼らにどんな影響をもたらしていくのか。仁志氏が期待した精神面の成長を重ねた選手たちが一堂に会して甲子園……。みらいの侍と、どんな“ドリームチーム”が誕生するのか想像せずにはいられなかった。

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