2月は短い。だからこの1日に始まった各球団の春季キャンプもそろそろ終盤に差し掛かるころになる。筆者が愛して止まないオリックスも来週日曜日からオープン戦に入り、選手間では厳しい一軍枠生き残りをかけての競争が展開されている。

 さて、この春季キャンプ、一時期流行した海外キャンプはすっかり影を潜め、ほとんどのチームは国内にてこのキャンプを張っている。周知のように、現在ではその場所も、沖縄と南九州に集中している。とりわけ、宮崎県には、1軍だけでもオリックス、巨人、ソフトバンク、広島、西武の各チームが集結し、ヤクルトと楽天の2軍もキャンプを張っている。

 そして、うちオリックス、巨人、ソフトバンクの3チームは同じ宮崎市内に拠点を置いている。ついでに言えば、宮崎市では多くのサッカーチームも同じく春季キャンプを張っており、その数はJ1の7チーム、J2の8チーム、J3の4チームという膨大な数になっており、これらのJリーグ所属チームが様々な競技場を入れ替わり立ち替わり使うことになっている。だからこそ、この時期の宮崎はこのキャンプを観に来る観光客で、ホテルの確保すら難しい状況になっている。

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オリックスのキャンプ地が清武にある理由

 その中でオリックスがキャンプを張っているのは、清武総合運動公園。毎年、この清武でJリーグチームもキャンプを張っており、今年は昨年に続いて2月9日まではJ2のツエーゲン金沢もまたキャンプを行っていたはずである。筆者の仕事がらみで言えば、2年前の2018年には韓国のプロ野球チームである斗山ベアーズがキャンプを張っていたこともあった。中には、日本チームのキャンプと韓国チームのキャンプをはしごする韓国人ファンもいるようで、筆者は宮崎市内で道に迷っていた彼らを得意の(?)韓国語で案内したこともある。

 

 さて、この清武総合運動公園、宮崎市内から自動車で30分ほど離れた場所にある。のどかな田舎風景の中、突如として立派な運動公園が現れる光景は、人々をして「どうしてここに」と思わせるに十分であるが、この公園がここにあるのは理由がある。清武総合運動公園がある清武は元々、清武町という宮崎郡に属する別の町だったからだ。

 よく知られている様に宮崎では1958年から巨人がキャンプを行っていた。1960年代、新婚旅行のメッカとして知られた日南海岸を抱える宮崎は、元来夏には多くの観光客が集まるものの、冬から春にかけては観光客が減少する状況が続いており、巨人の宮崎キャンプはこの状況を穴埋めしてくれる貴重な存在だった。そして、この宮崎市の状況を見て、同じ県内の各自治体ではプロ野球やサッカーチームの秋季、春季キャンプ地の会場となることを一つの目標として、競って運動公園の整備を行った。そして、その成果こそが多くのプロ野球、サッカーチームが春季キャンプを張る現在の状況なのである。

 後に宮崎市に合併されることとなる清武町もその一つであり、かつては巨人が2軍キャンプを行っており、オリックスが宮古島からキャンプ地を移したのは2015年の事である。宮崎には伊丹空港や関西空港から飛行機の便があるのみならず、神戸港から大型フェリーも通っており、このフェリーを使えば、宮崎まで早期予約割引を駆使して片道僅か5000円余りで行くことができる。結果、この時期の宮崎行きフェリーは我が家の一行をはじめとするオリックスファン(と他のチームのファン)でぎっしりと埋まることになっている。