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《韓国感染者の半数以上が信徒ら》コロナを礼拝で拡散 異端の新興宗教「新天地イエス教」の正体

《韓国感染者の半数以上が信徒ら》コロナを礼拝で拡散 異端の新興宗教「新天地イエス教」の正体

2020/02/25

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会, 国際

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 ちなみに、先述の感染者Aさんが病院を抜け出して礼拝に参加した大邱教会は、李総会長の故郷・慶尚北道の清道(チョンド)と近いため、全国から多くの信徒が集まることで知られる。その結果、Aさんと同じ日に礼拝を行った全国の信徒が各地の教会に戻ったことで、新型コロナが韓国全域に急激に広がりはじめた。

家族や友人にも信仰を隠す信徒たち

集団感染が発覚した大邱の「新天地イエス教」の拠点にはバイクで消毒剤が散布された(2月21日) ©AFLO

 韓国の防疫当局は、新天地信徒の調査に力を入れている。新天地大邱教会から9300人あまりの信徒リストを受け取り、600人を超える警察官を動員して彼らの行方を追っている。また、全国の新天地教会に、大邱教会を訪問した信徒の名簿を要請しているが、新天地側は非協力的だ。韓国社会で「異端」とされる新天地の信者は、家族や親しい友人に新天地の信徒であることを徹底的に隠しているため、その把握は困難を極めている。

 一方、韓国内で新型コロナによる初の死亡者が発生した慶尚北道清道の病院でも、新天地の信徒による感染が疑われている。この病院では、1月31日から2日間にわたって李総会長の兄の葬儀が行われ、多数の信徒が参列したとの報道もある。李総会長の故郷・清道が新天地の聖地であるため、多くの信徒がこの病院でボランティア活動をしていたとも報じられている。

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 この病院では現在、患者や医療関係者113人が感染し、うち6人が死亡している。感染者の大部分、113人中110人は5階の閉鎖精神病棟で感染し、重症者も多く、「韓国版ダイヤモンド・プリンセス号」とまで呼ばれている。

韓国では食料品店にも消毒剤が撒かれる事態に ©AFLO

「他の教会に潜入して新型コロナを拡散させろ」

 いま、韓国社会では「新天地恐怖症」が起きている。

 新天地の主要拠点があるソウル市と京畿道を筆頭とする各自治体首長は、新天地教会の閉鎖を命令し、礼拝の自粛を促した。しかし、新天地側は礼拝堂を閉鎖すると公表する一方で、信者たちには「礼拝堂は閉鎖するので、2人1組で活動せよ」と告知。その事実が報じられると、韓国国内は大騒ぎとなった。

 さらに、韓国中の教会をパニックに陥らせたのが、マスコミによって暴露された次の信者内のSNSのグループトークへの書き込みだ。