1ページ目から読む
2/4ページ目

 19日の1日だけで、新たに20人の感染者が発生したが、このうちの14人が新天地大邱教会でAさんと一緒に礼拝を行っていた信徒たちだった。

 その後も全国の新天地教会の信徒たちの感染が続々と確認され、25日午前9時現在、韓国の感染者893人のうち、半数以上が「新天地」の信徒らとその家族などの関係者だった。

「異端」とされる新興宗教

 今回問題となった「新天地」は、1984年に李萬煕(イ・マンヒ)氏によって始まった新興宗教だ。本部はソウル近郊のベッドタウンである京畿道果川(カチョン)にある。聖書に登場するイスラエルの12支派を真似て韓国全域に12の本部教会を設立し、韓国(72カ所)を含めて全世界に108カ所の教会と、509カ所の宣教センターを備える大規模な宗教集団だ。新天地の発表によれば、信徒数は25万3000人いるとされている。

ADVERTISEMENT

「新天地イエス教」内の集会の様子(教団の公式YouTubeチャンネルより)

 韓国のキリスト教団によれば、「新天地」では李総会長を「永生不死の再臨イエス」と崇拝し、「総会長に従えば死後、天国に入ることができる」と教える。世界終末の時には、14万4000人だけが天国に行けるとされ、信徒たちは14万4000人の1人となれるように積極的に活動することが求められる。新天地はキリスト教を標榜しているが、他の韓国のキリスト教団からは「異端」と規定されている。

 これまで問題になってきたのが、新天地の攻撃的な宣教方法だ。新天地の信徒たちは身分を隠して他のキリスト教の一般教会に潜入し、その教会の信者の抱き込みを狙って活動する。たとえば、牧師の不正を生み出して教会から牧師を追い出し、新天地の牧師を新たに招聘して教会を丸ごと飲み込む――などの手法だ。

 新天地は、信徒を徹底的に管理することでも知られる。礼拝を行う際には、指紋認証やQRコード認証を使って、出席をチェックする。病気になっても礼拝を欠かしてはならず、地方に出張したり旅行に出かけたりしていても、出先の新天地教会で礼拝を行うことを義務付けている。