韓国でも新型コロナウイルスの拡散が大問題となっている。2月23日には、文在寅大統領が「コロナ19(新型コロナ)政府対策会議」を開催し、国家の危機警報を最高段階の「深刻」へ格上げした。
「コロナ19の事態が重大な分水嶺を迎えた。『新天地』内の大規模な集団感染が起きる以前と以後とは、全く別の状況になった」
この文大統領の言葉どおり、韓国内のコロナ拡散状況は、新興宗教団体「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」(以下「新天地」)の集団感染が発生したことで、政府の統制も利かない事態となった。
感染者が病院を抜け出し、教会へ
新天地での集団感染が発覚したのは、次のような経緯からだった。
2月18日、韓国疾病本部は韓国の南東部に位置した大都市の大邱(テグ)で31番目の感染者が発生したと発表した。発表によると、感染がわかったAさん(61)は2月6日に交通事故に遭って近くの病院に入院し、10日から発熱。医師は新型コロナの検査を勧めたが、海外渡航歴がなかったAさんはこれを断ったという。
その後、Aさんは入院していた病院を抜け出して、2月9日と16日に新天地大邱教会の礼拝に出席。さらに、15日には大邱市内のホテルで食事をするなど、大邱市内を歩き回った。そして17日、高熱が続いたためコロナ検査を受けて感染が確定し、国指定医療院に入院隔離された。
このAさんの動線を確認した疾病本部が、Aさんとの接触者を中心に検査を行うと、19日から確定者が急増し始めた。