「既存の一般教会の礼拝に潜入して新型コロナを拡散させ、伝染が新天地だけの問題ではないことを知らせよう」
韓国国民の約20%がプロテスタント、約8%がカトリックとされる。23日からは、キリスト教系の各教会が礼拝を中断し始めた。
新天地教会の位置を知らせるアプリも人気を集めている。新天地教会の近くに行けば、アラームが鳴り、教会の正確な位置を知らせるアプリだ。
23日には、新天地の強制閉鎖を求める請願が大統領府の掲示板に掲載され、1日で30万人以上の同意を得ている。
「自分たちは最大の被害者だ」
現在、韓国当局が最も心配しているのは、感染者Aさんが2次感染者であること、そしてAさんと同じ時期にコロナ症状が発生した信徒が多数あるという点だ。
つまり、Aさんを始めとした新天地の感染者は、中国から入ってきた1次感染者と接触後、感染したと推測されているが、新天地側の非協力的な態度もあって、肝心な1次感染者の追跡調査が極めて難航しているのだ。
批判が急増する中、新天地は2月23日午後、YouTubeで緊急声明を発表した。新天地側は、政府に最大限協力するとしながらも、「自分たちは最大の被害者だ」と主張。大邱教会の信者リストを当局に渡したことは明らかにしたものの、その他の地域の信者のリストを提供するかどうかについては言及しなかった。新天地側が信徒リストを全面公開することを発表したのは25日になってからだ。
さらに新天地側は、教会と付属機関などの1100カ所の宗教施設をすべて防疫したとし、施設のリストと住所をホームページに公開した。しかし、一部地域では、これまで知られている新天地関連施設の数と新天地側が今回発表した数が異なっており、政府が追加で調査することになった。
韓国の宗教学者は、新天地の教義と閉鎖性が、当局の防疫に大きな障害要因になっているとして、次のように指摘している。
「新天地は『新しい世界が開くと現在の肉身を脱いで新しい肉身に着替えられる』と信じているため、信徒たちは現在の肉身の健康に対して無関心だ。新型コロナのような伝染病にかかっても、これまでと変わりなく礼拝に出席し、布教活動を続けるため、感染拡散に歯止めがかかりにくい」
さらに宗教学者らは、新天地が一般教会に信徒を抱き込むために韓国全土に派遣する「刈り入れ屋」と呼ばれる“スパイ”のリストを、政府当局が入手する重要性を指摘している。ただ、彼らの活動は教団の極秘事項であるため、入手は難しいだろう。
韓国で最も閉鎖的な宗教集団である新天地が新型コロナの温床になってしまった今回の事態。予断を許さない状況が続いている。