《やっぱり今回の平手ちゃんを、同じような状況だった昔の自分と重ねて、自分を見てる気持ちにはなりました。だから「頑張れ、頑張れ」みたいな》

 これは、いまから3年前の2017年3月、SKE48の松井珠理奈が欅坂46の平手友梨奈と、スペシャルユニット「坂道AKB」で一緒になったのを機に対談したときの発言だ(※1)。対談当時、平手は高校入学を控えた15歳、松井は20歳になったばかりだった。

1月23日、欅坂46から電撃脱退を発表した平手友梨奈 ©時事通信社

 坂道AKBはAKB48グループと乃木坂46・欅坂46の選抜メンバーにより結成され(その後、けやき坂46=現・日向坂46からもメンバーが参加)、このときはセンターを平手が務めた。欅坂では1stシングル「サイレントマジョリティー」(2016年)以来、センターを務めていた彼女だが、デビューから1年しか経たない自分が、各グループから先輩たちが集まるユニットでセンターに選ばれるとは思いもしなかったらしい。対談でもユニットの顔ぶれとフォーメーションの感想を訊かれ、《ビックリしかなかったです。ほとんどがAKBさんと思っていたので。メンバーと並びを見て「無理、無理だな…」って思ってました》、《[引用者注:欅坂でセンターで立つのとは]全然違いました》と答えている(※1)。

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 松井もまた、SKE48に加入したばかりだった2008年、SKEでCDデビューするより先に、先輩グループであるAKB48のシングル「大声ダイヤモンド」で前田敦子とともにセンターに抜擢されている。冒頭に引用した発言で、彼女が坂道AKBでの平手と重ねたという「同じような状況だった昔の自分」とは、このときを指す。

2008年、AKB48のシングル「大声ダイヤモンド」でセンターに抜擢された松井珠理奈

「欅坂のセンターの子は愛知県出身なんだよ」

 その松井は去る2月7日、ホームグラウンドである名古屋・栄のSKE48劇場の公演でグループからの卒業を発表した。その2週間前の1月23日には、平手の欅坂46からの脱退が発表され、ファンのみならず世間に衝撃を与えたばかりだった。

 松井と平手には共通点が目立つ。出身地からして2人とも愛知県だ。先の対談では、松井がファンから「欅坂のセンターの子は愛知県出身なんだよ」と教えられてミュージックビデオを見たと明かしていた。それ以上に大きな共通点は、両者ともグループ結成に最年少(松井が11歳、平手が14歳)で参加し、デビュー時より大半(平手の場合はすべて)のシングル表題曲でセンターを務めてきた“絶対的センター”であることだ。その立場上、自分よりグループ全体を優先して考えることも多かったようだ。先の対談でも、平手は《いつも全体を見てほしいという気持ちが一番あります》と語り、松井を《全体を考えられる(境地に)たどり着くまでが早い! もう大人になっちゃったんだ~》と感心させていた(※1)。