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それでも続くアラ探し

 韓国ではいま、新型コロナの感染拡大について、政府への責任論も続出している。大統領府の請願掲示板に寄せられた「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の弾劾請願」は2月末に100万を超えた。韓国紙は連日のように韓国政府を「無能」と報じているが、一方で東京五輪への“アラ探し”は、2月下旬以降も続いている。

「あと5カ月と迫っている東京五輪の準備に『赤信号』がともっている」(朝鮮日報、2月24日)

「検査後に感染者が急増すれば、東京五輪開催に打撃を与えかねないため、(日本政府が)検査に消極的なのではないかという疑惑も持ち上がっている」(ハンギョレ紙、2月27日)

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 いずれも韓国紙の東京特派員によるものだ。

 東京五輪のために新築された新国立競技場での英語表記に誤記が多いという、外国メディアの報道を引用しての報道も複数あり、「デタラメで国際的な恥さらし」(中央日報、2月26日)などと、露骨な見出しをつけているメディアもあった。

韓国では昨年夏から東京オリンピックの反対運動が行われていた ©AFLO

 さらに韓国の感染危機に際して日本を同等に扱いたいという思いがうかがえる報道もある。朝鮮日報(2月28日)は次のように報じている。

「今、世界で国民の安全より政治を優先している国は韓国と日本の2国だ。(韓国は)習近平訪韓のため、(日本は)五輪のため、中国の感染源を早期遮断しなかった。その結果はどういうものだったか」

 韓国は、感染の発生源であった中国にマスクや防護服を提供し、文大統領が2月20日、習近平国家主席に電話で「中国の困難はわれわれの困難」と伝えるなどしているが、中国の反応は冷淡だ。今年上半期に期待されている習主席の訪韓も雲行きが怪しい。

 韓国政府の対応に遅れがあったとすれば、そんな中国への配慮からかもしれないが、東京五輪まで並列で語る必要があるのだろうか。韓国メディアのいわれなき“東京五輪バッシング”は、しばらく続きそうだ。