新型コロナウイルスへの対応をめぐり、国際世論のバッシングの矛先が中国から日本に向かい始めた。転機は多国籍にわたって大量の感染者を出したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での日本政府の対応だ。日産のカルロス・ゴーン元会長の司法批判に続き、国際情報戦での日本の非力ぶりがまたも炙り出された。

ダイヤモンドプリンセス号 ©時事通信社

日本人は各国から渡航制限を受けている

 国際情報戦の新たな幕が切って落とされたのは、新型コロナウイルスの発信源である中国だった。

「状況が深刻な地域から来た人は14日間の経過観察を受けることになる」

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 2月26日、中国の首都・北京の当局はこう発表し、日本からの渡航者などを念頭に、中国に渡航した際は自宅などでの14日間の隔離措置を求めることを明らかにした。

 ウイルスによる感染者数約200人に過ぎない日本が、死者だけで3000人に迫る中国から渡航制限を受ける。日本がいまだに武漢のある湖北省、浙江省をのぞき、中国からの渡航者を受け入れているにもかかわらず、だ。

中国・武漢市 ©iStock

 つい数週間前であれば、中国の過剰反応として一笑に付されていたであろう動きも、いまや違和感を持つのは日本人くらいかもしれない。何しろ、日本を「汚染国」リストに入れるのは、いまや世界のトレンドだからだ。次に危ないのは日本だ——。そんな国際世論が形成されつつある。

 外務省によると、イスラエル、イラク、サウジアラビア、モンゴルなどは日本からの入国を完全に拒否。カザフスタン、パレスチナ、タイ、ベトナム、コロンビア、スーダンなど広範な国で入国後の行動制限措置がすでに取られている。

 入国だけではない。海外子女教育振興財団などによると、中国やイタリア、韓国など大流行が始まった国以外にもベトナムなどで日本人学校が休校した。日系企業の海外拠点も相次いで日本出張を取りやめるなど、経済面でもブレーキが掛かり始めている。