「欧州の武漢」イタリアでは、複数の町を封鎖
「欧州の武漢」と言われるほど、ホットスポットになったイタリアの感染者数は、日に日に増加し、3月4日時点で3000人を超えた。ベニスのカーニバルやプロサッカー・セリエAの試合を含むスポーツイベントも中止されている。感染者の多い北部では、複数の町を封鎖した。
実はイタリアは、ヨーロッパでいち早く新型コロナウイルス対策を行っていた。1月30日に2人の中国人観光客の感染者がローマで発見されると、すぐに緊急事態宣言を出した。今まで洪水や地震などの天災に対して出されたことはあったが、こうした感染症に対しては初めてである。中国と台湾からの航空便をすべて停止するなどの措置を取った。
なぜ、イタリアで急に流行したのだろうか。
流行の発端として、2月18日にミラノ近郊にあるコドーニョの病院で治療を受けた38歳男性のことが報じられている。彼がなぜ感染したかまだ明確になっていないが、そのあと、家族のほかに病院関係者にも感染したことから、病院の管理体制の不備が2次感染の原因として指摘されている。
フランスでも病院の医師などの感染が目立つ。1月の早い段階から、「新型コロナウイルスに感染した疑いのある人はかかりつけの病院には行かず、15(日本の119番にあたる)に連絡して、特別救急センターに行ってください」などと頻繁に広報され、態勢は整いつつあるように見えたのだが。
イタリアで多数の感染者が報告されている背景について、イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は、「ヨーロッパで最も厳しい検査をしているからだ」と述べている。たしかにこれも一理あるだろう。
フランスでも2月24日には11例の感染が報告されたが、1人の死亡を除き全員治癒と言われていた。だがイタリアでの流行を受けて検査を強化したところ、3月1日には感染者数が130人を超えた。ちなみに、パリから60キロほど離れた町では、感染した教師が死亡した中学校は、3月2日、休校した校舎を使って、生徒、教師、家族250人の検査が行われた。