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中国「ネトゲ廃人村」元住民が語る“本物のクズ”の生活

ゲームと「女神」とギャンブルと

2017/08/09
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ネトゲ廃人は典型的な「生ける屍」だ

――あなたのバックグラウンドについて教えてください。

呉用 実家は重慶の秀山トゥチャ族ミャオ族自治県だ。絵に描いたようなド田舎で、俺も農民の子さ。ただ、勉強をして大学を出て、深センのIT企業で働いて……。まあ、そこらへんは他の連中から適当に聞いてくれ。ともかく、深センに来て13年目になる。俺が三和で暮らしていたのは2015年までの2年間ほどだった。

――なるほど。そもそも、中国のネット上で「三和ゴッド」なる人たちが話題になったのはいつからなんでしょうか。

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呉用 やはり2015年ごろからじゃないか? 三和ゴッドについて知りたいなら、お前も自分でやってみればいいさ。80元(約1300円)ほど持ってあの街に行けば、何日かは暮らせるぜ。クソ安い即席麺を食って、バカみたいに安いネカフェに入り浸って、思考力も将来の計画も持たずただネトゲをやり続ける。典型的な生ける屍(行屍走肉)、ホンモノのクズの暮らしだ。

三和の街角。吹きさらしのネカフェの前でたむろするネトゲ廃人たち。たとえ月収が2000元(約3万3000円)でもスマホは持っている(2017年6月筆者撮影)。

――彼らの短期労働先の多くは、ホンハイ(鴻海精密工業。シャープの親会社)などのデジタル工場です。いっぽう、休みの日はスマホとネトゲに時間とお金を吸い取られていくわけですから、まさにデジタルの奴隷ですよね。

呉用 その通り。あと、三和にはギャンブル狂もいるぞ。バクチで全財産をスッたバカな人間だ。実は俺自身もそうなのさ。財産も家庭も職場も失って、いまだに這い上がれないでいる。

――バクチって、何をやったんです?

呉用 サッカー賭博だ。1回あたりのタネ銭が最大2万元にもなるデカい話のやつで、ネットで賭けられる。試合を見るときはいつも気が抜けなくて、ドキドキしたもんだ。だが、気がついたら90万元(約1500万円)もスッていた。

――リアルな数字ですね。中国の都市部の普通の市民なら、まあそのくらいの資産はありそうですけど、普通の人はそれを丸ごとバクチに投入しない(笑)。使っちゃいけないお金を使っちゃったわけですか。

呉用 ああ。長年の蓄えがすべてパアだ。しかも株でもスッた。それで嫁が激怒して離婚して、親戚にも合わせる顔がなくなって、仕事や他のことも全部放り出して三和に流れ着いたんだ。自業自得なんだけどな。ネトゲ三昧の最低の生活をしていた。