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マスク不足から「マスク曜日制」実施を発表

 マスク不足は深刻で、韓国政府も対策に乗り出してはいるが、国民の不満は解消されていない。3月2日には、588万枚を一枚100円で全国の郵便局、農協などで販売するよう通達。これには前日の夜中から並ぶ人もでたが、あっという間に売り切れた。

 この日、筆者も近所にある郵便局に行ってみたが、「ソウル市の郵便局では売りません」と書かれた紙がぺらっと貼り出されており、「詐欺だ」と叫んでいた中年男性も。マスク販売は、全国ではなくソウルを除いて、ということだったらしい。

 息を切らしながら走ってきた2人の男の子も「えーっ」と大きな声を出して頭を抱えていた。小学校5年生と中学2年生の兄弟で、家にあるマスクが日に日になくなってきているので買いに来たといい、近くにある薬局全部をまわってみると言って、慌ただしく走り去っていった。

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マスクを買いに行列に並ぶ大邱市民 ©AFLO

 韓国政府は5日、マスク不足解消のために「マスク曜日制」を発表した。これは、マスクの販売は薬局のみ、購入はひとり2枚に限定し、生まれた年(西暦)の末尾によって購入できる曜日を振り分けたもの。薬局には身分証持参となり、9日から実施される見通しだが、反発する声がすでにでている。

 日本で起きたトイレットペーパーの買い占めのようなことは起きておらず、代わりにオンラインショッピングでの品切れが続出している。 

何よりも情報が手に入りやすい安心感

 韓国での感染者数の74%は大邱に集中していて、次に多い慶尚北道(大邱の位置する道。数字は大邱を除く)と合わせると全体の90%近くにもなる。また、3日には、感染者全体の9割が新興宗教「新天地イエス教会」の信徒やその接触者、関係者ということが確認された。韓国政府は信徒全員(約23万名)の名簿を確保し、症状確認と検査が進行している。

新天地教会の名簿に電話をかける政府職員 ©AFLO

 一方、「新天地イエス教会」とは関係のない一般の人の感染者数も増えている。感染者を年齢別にみると、未成年者が200人ほど出ており、もっとも多い年齢層は20代。次に50代が続き、女性が全体の6割を占めている。

 韓国在住の身として感じるのは、検査数が公表されるなど、情報が簡単に手に入れられることが安心感につながっている、ということ。大手ポータルサイトで検索すれば、新型コロナウイルスの感染者数や進行している検査数、発生した地域などが一目瞭然。携帯にも住んでいる地域(筆者であればソウル市)の感染者情報がショートメールで入ってくる。

 住んでいるマンションにも、韓国政府の疾病管理本部から新型コロナ感染の予防方法や、症状が出た際に連絡するコールセンターについてのお知らせが2月の第1週にはすでにまわってきており、いざというときの行動も心得られた。

 今、何が起きているのかよく把握できなければ不安になる。求められているのは、情報の透明性ではないだろうか。