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「マスク曜日制」「自宅隔離中に死亡」 PCR検査多数の韓国、新型コロナ対策の“反省点”

2020/03/06

genre : 社会, 国際, 医療

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感染者を受け入れた病院は「収束後の病院経営が不安」

 感染者が4000人を超えた大邱市では、感染が確認された患者2000人あまりが病床不足のため、自宅隔離させられていた。3月1日には、入院を待機していた80代の女性の症状が悪化して亡くなったと報じられた。この女性は高血圧などの疾患を患っていたという(ハンギョレ新聞、3月2日)。非難の声が上がると、韓国政府は2日、中・重症患者を優先的に入院させ、軽症者は政府が用意した公共機関や企業の保養所などを利用した生活治療センターに入院させて、治療を行う方針に転換している。

 中・重症患者には、どんな治療が行われているのだろう。

 ソウル市内で中・重症患者が入院している中堅規模の公立病院に話を聞いた。ここには7人の新型コロナウイルス患者が入院している。酸素マスクをつけていたり、いなかったり、また、熱がないなど全員、重症ではなく、状態は良好だという。

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「新型コロナウイルス治療には、ソウルではどの病院でもエイズ治療薬を使っていると認識しています。

 日本の薬(アビガン)を中国で使用したところ、効果があったともいわれますが、まだ確かなデータがありません。まだ韓国では承認されていない薬なので、これから緊急で承認されるかどうか見守っています。まず、韓国政府はアビガンに関するデータを中国から取り寄せるべきです。

 今後は、ソウル以外の地域から重症患者が押し寄せる可能性に備えて専用病室を増やす方針です」

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 治療にあたる医師全員が防護服を着用しており、そんなところからも新型コロナウイルス患者を受け入れたという話が広がり、来院数が減っているという。新型コロナの感染収束後の病院経営には不安も感じていると話していた。

もっとも大事なのは「社会的距離置き」

 韓国で新型コロナウイルス感染者が初めて確認されたのは1月20日。これから終息までにどのくらいの時間がかかるのか。前出、キム・ウジュ教授は「いろいろな面で原則から外れているウイルス」と警鐘を鳴らす。

「これからの対応次第で4月まで続くのか、5月6月と続くのか。ウイルスとの戦争ですから、予測は不可能です。

 中国は独自の保健処置を行いましたが、政治体制が異なる韓国も日本もあのようにはできません。新型コロナウイルスは手強いウイルスです。慎重に見極めないといけません」

 個人ができるマスク着用、正しい手洗い、環境消毒のほかにもっとも大事なのが冒頭の「社会的距離置き」だと強調する。 

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 韓国では、今月から始まるはずだった新学期も幼稚園、小・中・高では23日にまでさらに延期された。大学もそれぞれ新学期を延期したり、授業をオンライン授業に変更している。