楽天の三木谷浩史社長は、4月8日から本格サービスを開始する携帯電話事業の料金プランについて、「衝撃的な価格」と胸を張った。

 提供する料金プランはひとつのみ。わかりやすさを重視した。月額2980円ポッキリで、データ通信が使い放題、音声電話もかけ放題だ。

携帯事業について語る楽天の三木谷浩史会長兼社長 ©AFLO

 この料金体系が明らかになったのは、発表会前日の3月2日。一部メディアのリーク報道によって「楽天が月額2980円で大容量プランを提供」が世間に知れ渡った。2018年8月に「日本の携帯電話料金は国際的に比較しても高すぎる。4割値下げできる余地がある」と語り、国内キャリアに値下げを迫った菅官房長官も、楽天の料金プランに対して「海外の主要事業者と比べても相当に安い水準になっているのではないか」と太鼓判を押した。

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 また、新聞など多くの国内メディアが「楽天が料金競争の引き金を引いた。大手3社も対抗値下げせざるを得ないのではないか」と囃し立てている。

 しかし、楽天モバイルの月額2980円には大きな落とし穴が存在する。

 また、大手3社は、楽天モバイルに対して脅威を抱いているどころか、むしろ冷ややかな視線を浴びせている。「そんなすぐに料金競争は起きない」という見立てなのだ。

「月2980円」の大きな落とし穴

「月額2980円」という価格に隠された大きな落とし穴。それは「楽天モバイルが自前で構築したエリアのみ使い放題」という点だ。

 楽天モバイルは東京23区や神奈川、埼玉、名古屋市、大阪市、神戸市の一部などでスマホと通信を行う基地局を設置。当初、工事が遅れていたが、巻き返しを図り、計画値を上回るペースで基地局の設置を行っている。

 当初は2020年3月末段階で3432局という計画であったが、すでに基地局は3490局が設置済み。今後の見込みでは3月末時点で4400局までになるという。

 つまり、この4400局が自宅やオフィスなど、自分の行動範囲にあれば「使い放題」になるというわけだ。

 ただ、大手3キャリアは、全国に20万規模の基地局を設置している。首都圏においても数万局という単位で基地局が存在する。楽天モバイルと大手3社では基地局の数に圧倒的な差があるのだ。