心愛さんは24日夜、浴室で絶命した。勇一郎被告の110番通報で駆け付けた救急隊員は、発見時、心愛さんの全身はあざだらけで、下あご部分はすでに死後硬直が始まっていたのを確認している。また、心愛さんの遺体を解剖した解剖医の証言では、心愛さんの肺には水が入っており、これは生前、意識障害を起こしたか、相当多量の水が口や鼻から入り込み、食道ではなく気管に水が流れたとみられるという。
絶命の浴室は密室状態。「虐待」は認めたものの……
24日午後10時ごろ、勇一郎被告が心愛さんを寝室から浴室方面へ引っ張っていくところを母親も見ているが、その先は密室状態だ。検察側は、被告が心愛さんの口付近に冷水のシャワーを長時間かけたとみているが、被告は「おでこのあたりにかけた」「かけたのは2、3回で1回は長くても3秒くらい」と説明する。当時寝室にいた母親は、「ドンという大きな音が1、2回聞こえた」というが、被告は「後ろを振り返ったときに、心愛が突然、ストンと落ちるように座りこんだ」「名前を呼んだりゆすったりしたが反応がなかった」とやはり食い違う説明を繰り返した。
弁護人は被告人質問の最後、「心愛ちゃんにしたことは虐待ですか、そうではありませんか」と問われ、勇一郎被告は「虐待です」と大きな声で答えた。だが、当時は虐待の認識がなかったとしたうえで、その動機は「心愛がやると言ったことは最後までやらせようという気持ちが強かった」と話し、あくまで躾が行き過ぎた結果とした。
一方、虐待に当たるのは心愛さんを「お前」と呼んだことや、「暴れる心愛を押さえたり、持ち上げたり、屈伸とか立たせたりしたこと」と述べ、心愛さんを殴ったり蹴ったりしたことは「一度もない」とした。