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 勇一郎被告は「妻を止めなければと思い、妻の後ろから覆いかぶさるように止めようとした」と続けた。だが、妻は被告の手を噛んだり、腕に爪を立てたりして抵抗。ストーブの柵を蹴り倒した反動で、2人とも倒れ、被告は妻に馬乗りになり、「迷った末に」顔をビンタした。顔を寄せて「お願いだから、もうやめて」と言うと妻は泣きながら「ごめんなさい」と謝り、落ち着きを取り戻したという。

「腿を蹴られた」という妻の証言については、「『しっかりしてよ。2人の母親でしょ』と妻のお尻を叩いた」と述べた。

 心愛さんが死亡した経緯も矛盾する。母親の証言によると、心愛さんは死亡する2日前の昨年1月22日の夕食以降、食事を与えられず、23日夜から当日の24日にかけて、肌着姿のまま、寝ることも許されず、真冬の寒い浴室に立たされ続けていたという。

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栗原勇一郎被告の初公判で傍聴券を求めて並ぶ人たち(2月21日、千葉地裁前) ©共同通信社

「そんなことがあると思いますか!」検察官は声を荒らげた

 だが、勇一郎被告は、23日夜に立たせたことは認めたものの、「心愛が自ら『朝まで立ちます』と言ったので立たせた」と釈明。その後、心愛さんはリビングのストーブの前で寝てしまい、翌朝8時ごろに起こすと、心愛さんが自主的に浴室へ向かい、昼頃まで居続けたという。検察官が「どうして浴室にいるままでよいと思ったのか」と問うと、「何度か心愛のことを見に行ったが、浴槽の縁に腰をかけて鼻歌を歌っていたのでこのままでいいかと思った」と述べた。

亡くなった栗原心愛さん

 検察官は声を荒らげ、「心愛さんは飢餓や極度のストレス状態で亡くなったんですよ。浴室で腰かけて鼻歌。そんなことがあると思いますか!」と追及したが、「本当にあったことなのでお話ししました」とボソボソと小さな声で答えた。