電車内で何度も強姦事件を働いた前科9犯の男。男はなぜ凶行を繰り返したのか? そして裁判所が下した罰とは…? 2006年に起きた事件の顛末をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)

写真はイメージ ©getty

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前代未聞のレイプ事件「犯人は前科9犯」

 植田は前科9犯のアウトロー。そのうちの5件が性犯罪だった。20歳のとき、17歳の家出少女に暴行した事件に始まり、性交を拒否した19歳の交際相手を暴行したというものや、駅の構内で見かけた女子高生にキスをしたというもの、電車内で知り合った女子高生の乳房を揉んだというもの、態度が横柄だった22歳の女性を暴行したというもの、トイレで性交を強要したというものもあった。

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 A子さんに対する強姦事件の1カ月前に強制わいせつ罪での服役を終え、満期出所したばかりでもあった。

 こんな男でもプライベートでは19歳の内妻(のちに妻)と知り合い、同棲を開始。性的には満たされていたはずなのに、衝動が起こると抑えられない性暴力常習者だった。

 さらに植田は内妻とケンカしたことをきっかけにとんでもない事件を起こす。

 内妻が家出してしまったため、ムシャクシャしていた植田は、電車に乗って強姦する女性を物色。たまたま目に付いたのが行楽地に行こうとしていたB子さん(27)だった。

 植田はボックス席に座っていたB子さんの対面に座り、「こんなヤクザ、嫌やろうけど、逃げたら殺すぞ!」などと脅し、B子さんのスカートの中に手を突っ込み、パンティーを脱がしにかかった。

「何するのっ!」

「いいから、黙って脱げ。時間がねえんだからよ」