「帰ったら、すぐ風呂に入れ。でも、オレは性病じゃないから安心しろ」
17歳の少女を襲った24歳の強姦魔。性加害の証拠となるDNAも検出されたにもかかわらず、裁判は数年にわたる自体に。なぜ犯人の罪を裁くのに時間を要したのか?
2006年に起きた事件の背景をノンフィクションライターの諸岡宏樹氏の著書『実録 性犯罪ファイル 猟奇事件編』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/続きを読む)
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女子高生を襲ったおぞましい事件
安藤君枝さん(17)は男性経験もない女子高生だった。クラブ活動を終えて、帰宅途中、バスから降りて600メートルほど離れた自宅に戻る際におぞましい事件は起きた。
バス停付近から付いてきたニット帽をかぶった男に「静かにしろ。殺すぞ!」とはさみを背中に突きつけられたのだ。
「お前、大声を出したら刺すぞ。そこの廃屋に入れ。オレの言う通りにするんだ」
男は君枝さんを誘導し、廃屋に着くと、抱きついて体中をまさぐり始めた。
「やめてください…」
「お前、ここまで来たら、何されるか分かるやろ。自分で服を脱ぐのがいいか、はさみで切り刻まれるのがいいか。どっちか選べ!」
男は躊躇している君枝さんのセーラー服をたくし上げ、ブラジャーをせり上げると、乳房を激しく吸い始めた。さらに片手をパンティーの中に滑り込ませ、君枝さんの性器を触りまくった。
「お前、男を知ってるのか?」
「…いえ、知りません」
「じゃあ、オレが教えてやるからよ。舐めてみろ」
男はジッパーから性器を取り出し、君枝さんの口内に押し込んだ。頭をつかんで激しく腰を前後に動かし、君枝さんがえずくと、「舐めるのがそんなにイヤなら、下の口でやってもらうぞ!」と言って、その場に押し倒し、パンティーだけ脱がして、すばやく性器を挿入した。
「オレはな、女子高生しか興奮できねえんだ。高校時代は勉強ばっかりで、彼女ができなかった。だから今、こうして夢を叶えてるんだ」
身勝手な理屈を口にし、挿入して2分も経たないうちに絶頂を迎えた男は、土の上に精液を発射した。その上から靴で踏みにじり、“証拠”を隠滅した上、再び君枝さんの膣内に性器挿入し、2度目の射精は「口を開けろ」と言って、君枝さんに飲み込ませた。君枝さんの膣からは鮮血が滴っていた。
「こんな場所で処女膜を破ったんだ。細菌が入るぞ。帰ったら、すぐ風呂に入れ。でも、オレは性病じゃないから安心しろ」
こう言い残して男は去ったが、君枝さんは今、起きた出来事自体が信じられず、ずっとその場で泣き崩れていた。
フラフラと立ち上がり、わずか100メートル先の自宅に戻ると、そのことを家族に知られるのがイヤで、自分で風呂を沸かし、体に残った犯人の体液を洗い流した。
「何があったの?」
その夜、君枝さんの異変に気付いたのは双子の妹だった。「絶対にパパやママに言わないで」と泣きながら打ち明けたが、「それは絶対に許せない!」と妹は憤慨。
「私もバス停から帰る途中にニット帽の男にお尻をなでられたことがあるのよ。その男に違いないわ!」
