「そんなバカな話はない。これは生身の人間がやった犯行だ」

 捜査側は徹底的にアリバイ崩しにかかった。バスの運行記録から、君枝さんがバスを降りたのは午後7時34分40秒頃と考えられた。そこから約427メートル歩き、犯人の男に襲われたのは6分30秒後の午後7時41分頃と推認された。君枝さんは「あまりに長く感じられ、何分ぐらい犯されたのか、記憶にない…」と供述したが、犯行時間が10分だったとすると、藤川が約383メートル離れた自宅に戻るまで約2分。さらに着替えて約629メートル離れた学習塾まで車で行ったとすると、約1分20秒で到着できることが計測できた。

「捜査機関のつじつま合わせに過ぎない」

 もちろん、こんな推測を弁護側は容認しない。

「荒唐無稽。2度も被害者を強姦しておきながら、10分で済み、自宅に戻ってすぐ出たとしても、スーツに着替える時間などが完全に抜けている。捜査機関が言っていることは、犯行時刻のつじつま合わせで算出した時間の計測に過ぎない」

 犯罪の立証責任は、あくまで検察側にある。藤川は間違いなく、午後8時には塾にいて、子供たち相手に授業をしていたという事実があった。理屈で可能だとしても、それを裏付ける事実は何もない。

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