千葉県野田市の小学4年生だった栗原心愛さん(当時10)が虐待を受け、昨年1月24日に死亡した事件。父親の勇一郎被告(42)は傷害致死罪などに問われ、先月21日に始まった千葉地裁での裁判員裁判は、3月9日、結審した。
被告は心愛さんの死亡は「私の虐待が一つの原因」というが、虐待のほとんどを否認。検察側は勇一郎被告を「悪魔のよう」と表現し、「心愛さんが味わった苦痛は筆舌に尽くしがたい」として、児童虐待の傷害致死事件としては異例の懲役18年を求刑した。裁判員はどのように判断するだろうか。判決は19日に言い渡される予定だ。
食い違う証言
3月4~6日に行われた被告人質問で被告が話した内容は、それまでに証人として出廷した心愛さんの母親(33)=傷害幇助罪で有罪確定=や解剖医、心愛さんが一時保護された柏児童相談所の職員などの証言とは矛盾するものだった。矛盾を指摘されても「私は事実を話していますので」と繰り返すばかりだった。
2017年11月上旬、被告が心愛さんの頭を手で殴るなどの暴行を加えたとされる事件。勇一郎被告の虐待がはじめて外に明らかになった事件だ。心愛さんは11月6日に行われた小学校のいじめアンケートに「お父さんにぼう力を受けています。(中略)先生、どうにかできませんか」と虐待を訴えた。
アンケートの翌日、担任の先生が心愛さんから事情を聴くと、「昨日もお父さんに叩かれた。頭や背中、首も蹴られた。頭は今も痛い」と涙ながらに話したという。その日のうちに柏児相に保護され、児童福祉司や児童心理司にも同様の説明をした。
さらに、母親は今回の裁判で、アンケートが実施された前日の5日にも、自宅で心愛さんに「パパに夜中にたたかれる」などと打ち明けられたと証言した。