「身に覚えがない」父親は涙をハンカチで拭いた
これだけの証言があるにもかかわらず、勇一郎被告は「身に覚えがない」と無罪を主張。弁護人が「それならなぜ、心愛ちゃんがやられてもいないことをアンケートに書いたり、児相の職員に話したりしたと思うか」と問われると、はじめは「思いつく理由はない」とか「心愛を傷つけたくない(ので答えない)」と答えたが、弁護人に「あなたは十分心愛ちゃんを傷つけたんですよ」と諭されると、「心愛がされてもないのに、噓を書いたと思います」と答え、涙をハンカチで拭いた。
心愛さんが死亡する約3週間前の昨年の元旦。勇一郎被告は心愛さんを引っ張って持ち上げては、床に打ち付けるという虐待を繰り返していた。心愛さんはぐったりし、見ていた母親は心愛さんの命の危機を感じたという。「もうやめて。虐待だよ」と勇一郎被告を制止しようとしたが、「お前は何も分かっていない」と馬乗りになられ、口にひざかけを突っ込まれた。さらに被告は心愛さんにコップに水を入れて持って来させ、その水を妻の顔にかけたという。
勇一郎被告は「テメェ、殺すぞ」と妻が暴れたと主張
午後も心愛さんを虐待する勇一郎被告を止めようと、母親は「警察に通報する」と告げたが、再び馬乗りになられ、顔をビンタされた。途中、当時1歳半だった次女が昼寝から起きてしまい、被告は次女をあやしに行った。母親が起き上がって立っていると、被告は次女を抱っこしたまま、「腿を蹴った」と証言した。
一方、勇一郎被告は妻に馬乗りになり、ビンタしたことは認めたものの、「妻が暴れ、心愛や次女が危険だったから」とまったく違うストーリーを展開。妻が突然、「テメェ、殺すぞ」と言いながら被告の胸ぐらをつかんできたという。
2人はもみ合いになり、「妻の(精神的な)病気が出ていると思い、心愛に次女を守ってほしいと言った」。心愛さんは次女がいる方へ向かったが、その途中、妻がこたつのちゃぶ台を返したり、次女の椅子を蹴ったりしたため、結局、次女は勇一郎被告が抱えて寝室に逃げ込んだ。心愛さんは逃げる際、母親に背中を蹴られたという。