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 副題にある「アテンション・エコノミー」とは、情報量が爆発的に増加した現在では、情報の価値よりも人間の関心や注目=アテンションこそに経済的価値があるという考え方。「情報は新しい石油」という言葉があるが、「関心は新しい石油」と言えるだろうか。このアテンション・エコノミーにおいて、私たちは日々の生活や仕事中、いつも手元のデジタル・デバイスに気を取られ、熟考する時間、あるいはその習慣が奪われていくと言われる。オデルはデジタル・デトックスが、新たな階級問題を生んでいると主張する。施設の料金を見てもわかるように、到底、万人がデジタル依存症から抜け出すための方策とは思えないと。

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テックの巨人たちが子どものデジタル使用に制限をかける理由

「デジタル・デトックスが西海岸では人気ですが、それは非常に高価なんです。デジタル・デトックスをしたければ、ただスマートフォンを持たずに散歩に行けば無料で出来ますよね? これは新しい階級問題を生む可能性があります。デジタルの危険性について言えば、スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツは夕食の席で子供にテクノロジーを使わせませんでした。もしあなたが働きすぎの親で、子供がいても構う時間がなければ、彼らにタブレットを与えてしまうでしょう。これは子供の教育にとって大きな問題なんですよ」

 オデルが語るデジタルの過剰摂取に焦点を当てた本が、アメリカで話題になっている。ニューヨーク大学マーケティング学科の准教授であるアダム・オルターの『僕らはそれに抵抗できない―「依存症ビジネス」のつくられかた』(2017年)だ。この本でオルターは、前述のテックの巨人たちが我が子のデジタル使用に制限をかけている逸話を紹介している。

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「ジョブズは2010年末にニューヨーク・タイムズ紙の取材を受けた際、記者のニック・ビルトンに対し、自分の子どもたちはまったくiPadを使っていないと語っている。『子どもが家で触れるデジタル・デバイスは制限しているからね』」

「『WIRED』誌の元編集長クリス・アンダーソンは、家庭内のデバイスそれぞれに厳しい時間制限を決めているという。『テクノロジーの危険性をこの目で見て来た』からだ。彼の子ども5人は寝室にデジタルスクリーンを持ち込んではいけないことになっている」