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産後1年、35歳で「がん」……原因不明の高熱、リビングで寝ながら子育てした“地獄”の日々

「よくもこれだけ身体が発したサインを無視したな」

2020/03/17

 2018年の11月、35歳のときに大腸がん(上行結腸がん)が見つかり、すぐに腫瘍切除。半年間の抗がん剤治療を終え、現在は経過観察中のライター、小泉なつみです。

 今は治療もクスリもやっておらず、食事制限も行動制限もありません。つまり、がんが分かる前とまったく同じように働き、家事・育児をしています。このことは、わりと皆に驚かれます。1年前の今ごろは抗がん剤でヒーヒーいっていたのに、あれは幻だったのかと思うほど、今は穏やかな毎日です。

手術のために入院することになった時に撮った一枚。この時すでに一週間近く絶食しており、6kg痩せた。

 それでも、日常の中でがんを感じる瞬間はよくあります。たとえば最近なら、確定申告。

 フリーランスにとって確定申告の作業は、昨年1年間の頑張りを感じられる瞬間だと思います。私も例年であれば、レシートの山と格闘し、「amazon.co.jp」の購入履歴をうんざりしながら遡っていました。

 しかし令和元年度は、あっという間に確定申告書を作り上げることができまして。というのも昨年は夏まで抗がん剤治療をしていて、その間はあまり仕事をせず、人生への不安から洋服等への購買意欲もゼロになった結果、お金の出入りがほとんどなかったからでした。

がん発覚前のほうが恐ろしかった

 経済活動と体調がここまで見事にリンクすると、「体が資本」が紛れもない真実であると心から理解できます。それと同時に、「お前は少なくともあと4年はがん患者や。そのことを忘れんなや」と、久しぶりに記帳した通帳に言われたような気がしたのでした(私のがんは術後5年で寛解と言われています)。

 そんな中、最近よく思うのは、がんがわかった後より、発覚する前のほうが恐ろしかったかも、ということです。

※写真はイメージです ©iStock.com

 発覚前は、夜間授乳と夜泣きで慢性的な睡眠不足でした。その1年前に出産したばかりだったので、母乳育児ばりばりの時期。おっぱいをやるごとにお腹が減り、生気まで吸い取られていくような気がしました。