とにかく体調を崩していた日々
バリバリ仕事をしようと思っても、保育園に送り出した途端、ベッドに倒れ込んでしまう。でもここで休まなければまとめて睡眠を取れる時間もないので、仕事が進まない焦りと初めての育児へのプレッシャーで、けっこうなストレスを抱えていました。
加えて、とにかく体調を崩していました。熱を出す、目やにが止まらないなど、月に1度はどこかに不調が生じ、病院に駆け込む日々。目やには結膜炎かなにかだったと思うのですが、ひと月のうちに2回も同じ症状が出て、眼科の先生が「普通はこんな短期間に同じ症状を繰り返すことはないんだけど……」と、首をかしげていたのが印象的でした。
あと、これもがん患者の人が「発覚前あるある」として言うことですが、坂道を登ったり階段を上がったりするのがめちゃくちゃキツかった。
渋谷警察署前から青山通りを赤坂方面に進んでいくと坂がけっこうキツいんですが、それまではパソコンを担いで普通に歩いていました。でも、がんがわかる直前に同じ道を歩いた時、猛烈な疲れに襲われて休憩を挟まずには登れませんでした。
原因不明の高熱が2週間
しかし、自分ががんになっているなどとはつゆほども想像していないので、「授乳するとこんなに体力が落ちるのか」とか「子どもの風邪は感染るとタチが悪いっていうから」と、大抵の不調は「母体か子どもが原因」と結論づけていました。
さらにその後、トドメとばかりに原因不明の高熱が2週間続きました。鼻水もでなければ喉も痛くないのに熱だけ高いという、風邪にしては妙な症状。さすがにおかしいと近所の病院で血液検査をしたところ、鉄欠乏性貧血であることが発覚。鉄剤をもらって体力的にはかなり楽になるのですが、結局その数日後、猛烈な腹痛によって腸閉塞が発覚。あれよあれよという間に大腸がんが見つかったのでした。
発覚前の半年間はいつも疲れていたし、前述の通りとにかく不調だらけで、今思えば、「よくもこれだけ身体が発したサインを無視したな」と思います。初の産後で自分の身体がイレギュラーな状態だったとはいえ、かわいそうなことをしました。
後に知ることになりますが、貧血も大腸がんの症状のひとつとして知られています。