なぜ中央線に「豊田行き」があるのか?
豊田駅がどこにあるのか。その答えを言ってしまうと、豊田駅は東京都日野市にある。新宿駅から直線で武蔵野台地を走り抜いてきた中央線は、立川駅を出ると南西に進路を変える。そして多摩川を渡って日野市に入る。このあたりから車窓には緑も増えてきて、天気の良い冬の日には遠く富士山が見えたりして、小旅行気分に浸ることもできる(毎日通勤で乗っている皆様、ごめんなさい)。そして日野駅を出ると高架から台地に突っ込んで掘割の中を走り、それを抜けて少し右にカーブすると豊田駅に着く(八王子駅よりも1つ新宿駅寄りである)。豊田駅の少し先には中央線の電車たちの寝所・豊田車両センターがあり、これが「豊田行き」の電車が多発する理由である。
では「豊田駅」には何がある?
豊田駅は地上にホームのある2面4線のごく普通の駅だ。他の路線が乗り入れているわけでもない、なんの変哲もない駅である。階段を登って橋上駅舎のコンコースに出て改札を抜ける。地上のホームから橋上駅舎に出たのだから、駅の外には階段を降りて向かうことになる……と思ったら、改札を出て左手(つまり北側)に向かってなんとさらに上り階段があるのだ。反対の南側は下り階段。これはどういうことだろうか。
この謎めいた構造の理由は、豊田駅が台地(日野台地と呼ぶらしい)にへばりつくように低地側に建っていることによる。ホームがある低地は日野台地の崖下にあり、台地状の北側に出るためには橋上駅舎よりさらに少し高いところまで登らねばならない、というわけだ。逆に南側はホームと同レベルの低地なので階段を降りて外に出る。この台地は多摩川とその支流の浅川に挟まれた場所にあるがゆえのもので、つまりは河岸段丘というやつだ。地形の専門家でもないので深掘りはしないが、地形は鉄道の旅とは切っても切れない関係なのである。
駅前に三大メガバンクがズラリ
さて、まずは台地側の北口に出てみよう。少しだけ階段を登って外に出ると、なんとまあ立派な駅前広場。目抜き通りには三井住友・三菱UFJ・みずほの三大メガバンクも並んでいるし、さらにその先にはどでかいイオンモールまで控えている。もちろんコンビニとかチェーン系の飲食店とかもあるし、駅前ロータリーに面してマクドナルドまであるくらいだ。マクドナルドというといかにも都心の駅っぽいが、ビルの中にあるのではなく平屋でロードサイドにありそうな雰囲気だから、その点は少々“田舎”っぽさが感じられる。