いわばバイトで歌ったにすぎないCDが何百万枚も売れてしまったのが、本業で音楽を一生懸命やっている人たちに申し訳なく思えたからだ。ヒットしたのも自分の力というより《これはなんちゅうても小室哲哉さんの力やから!》と強調した(※1)。
プロデュースの依頼から1週間以内に曲が出来ていた
それでもこの曲は浜田なしにはありえなかった。小室は後年、「WOW WAR TONIGHT」はプロデュースを引き受けて1週間もかからずにできていたと明かしたうえで、次のように語っている。
《浜ちゃんの、あの味のある声をずっと[引用者注:テレビの収録]現場で聴いていたから。まだ「おっさん」っていう年齢じゃない、若者たちの頼れる兄貴だった浜ちゃん。経験は豊富だけど、決して説教じみているわけじゃなくて「俺もこうなりたい」「こういう人がいてくれたら」って思える存在。女性からみたら、ぶっきらぼうだけど優しい憧れの上司的な感じかな。あと当時はファッションリーダー的な立ち位置でもあったからね。そういうのを全てひっくるめて出来上がったのが「WOW WAR TONIGHT」でした》(※2)
「浜ちゃんが歌っている時、ジンときました」
曲の依頼を受けたとき、小室はちょうどジャングルという当時最新のダンスビートに興味があり、浜田がお笑いで叫んでいる声がハマりそうだと感じていた。実際にレコーディングしてみると、小室の想像以上だったのだろう、《浜ちゃんが歌っている時、声を聴いてるだけでもけっこうジンときました》という(※3)。
そもそもこの曲は、ジャングルのリズムを用いてはいるが、歌詞の内容は普遍的なフォークソングとしてつくったという。小室は後年、《ダウンタウンの名前に恥じないものを……って考えた時、どんな時代背景でも、誰の心境にも寄り添うような一曲にしようと。人の心に入り込んで初めて、曲は曲になる。浜ちゃんの忙しい日常を歌ったものだけど、それは生きている誰もが感じる部分だったりするから。「何かを起こしたい」っていう気持ちは、今の時代も同じようにある》と説明している(※2)。