ニューヨーク・タイムズ紙によれば、医療ガイドラインでは、感染している可能性がある乗客は船内で検査せず、下船させることが推奨されているという。「ダイヤモンド・プリンセス号」は医療ガイドラインを無視して、船内で検査を行ったことが問題だったというのだ。
「グランド・プリンセス号」の場合、医療ガイドラインに従ってか、乗客のウイルス検査を船内ではなく、下船後に搬送される場所で行われることになった。
2400人は「病院」「ホテル」「米軍基地」に振り分け
下船した乗客は体調により、搬送される場所が振り分けられている。
まず、体調が悪い乗客は病院に搬送された。病院で治療を受けて退院した人々は、いくつかのホテルに振り分けられ、14日間の隔離に入ることになる。
感染しているかは不明だが、病院での治療までは必要がない軽い体調不良を見せている24人の乗客は現在ホテルで隔離されている。ホテルは、一般客が宿泊するところからは分離されているので安全だと州知事は説明している。
体調に問題がない乗客は、4つの米軍基地の施設に振り分けられることになった。乗客の大半を占めるカリフォルニア州の住民は州内のトラヴィス空軍基地かミラマー海軍基地に、それ以外の住民はテキサス州の基地とジョージア州の基地に送られて検査を受け、14日間の隔離に入っている。
外国籍の乗客はチャーター機で自国へと送還されることになった。
船内では「牛のように並んで順番を待っていた」
ただ、下船作業はスムーズに進んでいるとは言えない。寄港2日目の3月10日までに1407人が下船したものの、
また、下船風景を見た乗客からは感染を恐れる声もあがっている。
「乗客がまるで牛のように並んで降りる順番を待っていたわ。みな1カ所に集められ、体が触れ合っている人もいた。タラップは渋滞状態だった。彼らは、チャーターバスに乗せられて行ったわ。それを見て、とても怖くなった。あれでは感染してしまうわ。あんな風に下船して安全ということなら、なぜ、私たちは5日間も部屋に閉じ込められていたわけ?」
100万ドル以上の訴訟を起こした夫婦の言い分は?
カーニバル社に対して100万ドル以上の訴訟を起こした夫婦も現れた。夫婦は、同社が安全よりも利益を優先し、適切なスクリーニング検査を行わなかったために、精神的不安やトラウマを与えたことを理由に訴えたのだ。この夫婦によると、サンフランシスコで乗船する際、体調の良し悪しを確認するための書類に記入を求められただけで、スクリーニング検査は行われなかったという。
また、訴状には「同社はダイヤモンド・プリンセス号での経験を踏まえて、乗客を保護する対策を考案すべきだった」とある。つまりは、「ダイヤモンド・プリンセス号」での教訓が生かされていないことも問題視しているのだ。
ところで、下船後、乗客はどんな対応を受けたのか?