「私や妻が関係していたということになれば」
《安倍晋三首相は17日の衆院予算委員会で、国有地を格安で買い取った学校法人「森友学園」が設立する私立小学校の認可や国有地払い下げに関し、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べた。》(毎日新聞WEB2017年2月17日)
この首相発言があったから官僚たちは「動いた」のではないか。ずっと言われていたことだが、今回公開された手記でその疑念は濃くなった。
首相の「大きな言葉」に官僚たちが帳尻を慌てて合わせるという例。最近も「相変わらず」ある。
「黒川氏が望ましい」定年延長問題
黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題だ。安倍首相は2月13日の国会で安倍内閣として解釈を変更したことを明言した。
《定年延長は、政権に近く「お庭番」とやゆされる黒川氏の検事総長登用のためとされるが、弁護士出身の法相や法務省、人事院の答弁が、安倍晋三首相の主張に沿う形で迷走し、虚偽答弁の指摘も受けている。》(「モリカケ以上の忖度」日刊スポーツ2月24日)
黒川検事長が定年延長になれば次期検事総長の道も開けてくる。読売新聞には今回の答えが書いてあった。
《政府関係者によると、次期検事総長の人選は、昨年末から官邸と法務省との間で水面下で進められた。同省から複数の候補者が提案されたが、安倍首相と菅官房長官は黒川氏が望ましいとの意向を示したという。》(2月21日)
安倍首相と菅官房長官の意向。この「逆算」にあわせるために周囲がドタバタしているとしか見えない。モリカケとまったく同じ構図。
ちなみに「黒川弘務」の名は先ほどの籠池氏の本にも出てくる。
「8億円値引きと公文書改ざん」の件で財務省が告発されていた頃のこと。「不起訴」になるというメモ情報が法務検察から事前に漏れていたという。共著者の赤澤氏が取材報告として、
《わたしが、東京、大阪の両特捜部で働いたことのある元検事に聞いたところ、彼はこの「法務省」について、「これはズバリ黒川さんだよ」と言い切りました。このメモが出された当時、法務省事務次官だった黒川弘務氏のことだと言うのです。》
これを受けて籠池氏は《安倍さんの覚えめでたい黒川弘務氏は現在、東京高検検事長。法務検察の序列ではナンバー2である。事務次官から東京高検検事長というラインはエリートコースであり、黒川氏は次期検事総長の最有力候補なのだという。つまり日本最強の捜査機関のトップに立つ可能性があるのだ。ただただ暗澹たる気持ちにならざるを得ない。》と書いている。
見事に現在までつながっている。