「東京五輪、完全な形で」
さて、安倍首相の言葉にあわせてドタバタするクライマックスはこれだろう。
「『東京五輪、完全な形で』 首相、時期明言せず」(日経電子版3月17日)
無観客や規模を縮小した形では実施しない考えを首相は示唆。開催都市の国の首相なのだから「完全な形」にこだわるのは当たり前と思う人もいるだろう。
しかしここ最近の政局記事と絡めると興味深いのだ。まず産経新聞。
「新型コロナ 遠のく解散」(3月13日)
コロナと解散総選挙ってなんの関係があるの? と思うが、早期に終息できなければ「首相の手で解散を行えなくなる可能性もある」。
《首相が誘致に尽力した五輪が成功裏に終われば、政府・与党への支持が高まり環境は整う。五輪後は経済のさらなる減速が予想されており、時機を逃せば与党にとって苦しい選挙になりかねないという事情もある。》
もっと突っ込んだことを書いたのは毎日新聞だ。「新型コロナ 五輪延期阻止 政府躍起」(3月14日)。
政府高官の言葉として「日本として東京五輪は『やりたい』ではない。『やる』んだ」。
そこまで必死な理由は?
《2回先送りした10%への消費税率引き上げを19年10月に踏み切ったのは、翌年に控える「五輪特需」を見越し、増税による景気落ち込みが最小限になるタイミングと踏んだためだ。》
五輪を契機に政権浮揚を図る戦略を描いていたが、五輪が延期・中止に追い込まれればそのシナリオは崩れかねない。
《与党内では「万が一、感染拡大に歯止めがかからずに五輪が予定通りできなくなったら、すぐに政治責任が持ち上がる」(鈴木俊一総務会長)との声も出ている。》
ああ、私はてっきり五輪はアスリートファーストの大会だと思っていたがどうやら政治的な興行らしい。東京五輪だけは絶対にやるという逆算だけは動かない模様。
森友公文書改ざん、東京高検検事長の定年延長問題、五輪を「完全な形で」。
すべては首相の「大きな言葉」を守るために周囲が無理を重ねているようにしかみえない。
ここ数日は五輪延期説もあちこちの報道で見かける。
あ、もし五輪が延期となったら、安倍首相の任期も延長(四選)されたりして。