高山が獄中生活を送るなか、暴力団業界に後藤組追放以上の衝撃的な情報が駆け巡った。15年8月27日、山健組や宅見組、正木組など13組織が山口組を離脱し神戸山口組を結成。再び分裂状態となった。
ある山口組幹部は8月27日という日付に注目している。
「神戸(山口組)が出て行った8月27日は、10年前(2005年)に6代目の継承式が行われたのと同じ日だ。この日に出て行ったのは嫌がらせという意味もあると思う」
警察庁幹部がみた「高山」
山口組の歴史上、高山は傑出した存在であるには違いないと、警察関係者は口を揃える。記事冒頭で、3代目組長の田岡、5代目若頭の宅見と並ぶ存在と高山を評した警察庁幹部は、次のように解説する。
「田岡は神戸の地方組織に過ぎなかった山口組を国内最大規模に押し上げた。この当時、警察の取り締まり強化で様々な暴力団が解散していくなか、田岡だけは決して信念を曲げることなく一人でもやっていく考えで押し通した。
5代目体制発足当初は、宅見は組長機関説のような考えの持ち主であったことが窺える。組長には田岡のような強いカリスマ性がなくとも機関としての役割を持たせることで、ナンバー2として組織を運営して行こうとしていた。次第に執行部に溝ができて、途中で殺されてしまったが」
さらに高山について、こんな自説を披露する。
「数々の内部分裂などの歴史を踏まえ、6代目体制ではツートップを独占して、支配を強め中央集権的な組織にしようとしていたのではないか。5代目体制の時には統制がゆるいところがあったから。しかし、あまりに統制が厳しく、多くの直参が息苦しくなったのではないだろうか」(同前)
別の警察庁幹部は、高山について次のように推測する。
「これまでの歴史からして今後も必ず内部で派閥争いが起きて分裂騒動が持ち上がることになると、高山は分かっている。高山ならすでに、それを見越して次の7代目だけでなく8代目以降をどうするか、考えているはずだ」
警察幹部が高山を評価するのは妙な話だが、山口組弱体化のための警察のターゲットは今後も高山であることだけは間違いない。(敬称略)