朝日新聞の吉岡桂子編集委員による“台湾「隔離」日記”が批判を浴び、炎上した。
ビザ免除の最終日となる3月18日、“鎖国直前”の台湾にタイ・バンコクから駆け込みで入境した吉岡氏が、現地で14日間の隔離対象となってからの日々を朝日新聞の公式フェイスブック「The Asahi Shimbun Asia & Pacific 朝日新聞アジア太平洋」で「台湾『隔離』日記」として発表。批判コメントが殺到し、日記は開始からわずか2回目が投稿されたのを最後に、23日の夜、唐突に終了した。
『隔離日記』の何が問題で、なぜ炎上したのか、そして終了に追い込まれたのか。ここでは、現地メディアの報道やフェイスブックに集まったコメントを振り返りながら、考えてみたい。
「遊び半分で台湾に来ている」という批判が
<私はこの原稿を、台湾のビジネスホテルの部屋で小さな冷蔵庫を机にして書いています。1日目の朝はタピオカの入っていないミルクティーで始まりました>(台湾「隔離」日記 3月19日)
<午後4時半ごろには、桃園市から大きな桃色の袋がプレゼントとして届き、びっくり。中には、マスク14枚のほか、この措置の手引きとおかしや栄養食品などがたくさん入っていました。実は、在宅検疫中は自治体の監視下にもあるのです>(同 3月19日)
<11時すぎに出発し、3時間半。大好きなシャーリーズ・セロンが出演する米国映画『スキャンダル(Bombshell)』を見終わったころ、台湾・桃園空港に到着しました>(同 3月19日)
こうした内容に違和感を覚えた人が、「(非常時なのに)遊び半分で台湾に来ている」など否定的なコメントを寄せたことから炎上騒ぎが始まった。
『隔離日記』の炎上については現地でも報じられ、台湾で発行部数第1位を誇る大手メディア『自由時報』は日本メディア関係者のコメントとして、次のように伝えていた。
「彼女は朝日新聞の社内で中国通として知られており、理性的で信頼の置ける記者です。台北にも支局はありますが、今回、編集委員という上層部の記者を派遣したのは、4月に地位の高い人物を取材する予定があるからかもしれません。蔡英文総統か、あるいは最近日本のメディアで注目されている唐鳳(オードリー・タン、台湾の天才IT大臣)あたりでしょうか。とはいえ、今回の『隔離日記』のような“ゴミみたいな文章”を発表するのは軽率すぎます。批判が強まれば、4月に予定している重要な取材にも影響が出るかもしれません」(3月22日付『自由時報』より)