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遊び半分で台湾に来た? なぜ朝日新聞編集委員による『隔離日記』は大炎上したのか

2020/03/24
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「批判をしているのはほとんどが台湾在住の日本人」

 別の台湾ニュースメディア「三立新聞網」では、吉岡氏の炎上騒動について紹介するとともに、同じく台湾に“駆け込み入境”したイタリアのユーチューバー・LIVIA氏について批判的に報じている。

「台湾の医療システムを称賛してくれるのは良いが、彼女はカンボジアから着陸したあと、マスクも付けずに地下鉄に乗ってうろうろしていたようだ。自宅待機のルールに違反している疑いがあり、台湾のネットユーザーたちは首を横に振っている。台湾医療に対する“冷やかし”にほかならない」(3月22日付『三立新聞網』)。

 しかし同記事では、LIVIA氏が「友人から台湾に行ってみたらどうかと勧められて、台湾がどこにあるかも知らなかったけど、来てみました。ネットで調べたら、台湾の医療システムは非常に優秀だと知りました。私を滞在させてくれて、台湾に感謝したい」(同日付『三立新聞網』)と入境した理由についてコメントを寄せている。

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 一方の吉岡氏も入境の理由について2回目に投稿された『隔離日記』で触れてはいるものの、現地メディア『自由時報』では「吉岡記者は台湾来訪の本来の目的を詳しく説明しなかったため、批判を受けた」と指摘し、次のようにも報じている。

「興味深いことに、批判をしているのはほとんどが台湾在住の日本人で、彼らは台湾の防疫措置を支持する一方、吉岡記者の行為は台湾に迷惑をかけているのではないかと懸念し、全面的に台湾を支持する態度を貫いている」(3月22日付『自由時報』より)

電車の消毒も実施された ©Getty

「世界の人々にとって台湾の事例が参考になるなら」

 確かに、フェイスブック上の批判の大半は日本語で、台湾人からのコメントはあまり多くない。

 さらに、中国語で投稿されている台湾人からと思しきコメントを読むと、吉岡氏を擁護する意見も目立った。噛み砕いて訳すと、以下のようなものだ。

「そこまで非難することはないと思う。台湾の医療物資を消費したのは事実だけど、仕事のためだから仕方ない。非難されるべきは、朝日新聞がなぜ別の方法を取らなかったのかということ。取材相手の考えを聞いたり、ネットを使ったテレビ電話でも良かったかもしれない。(中略)医療機関の許可を得て書いているなら、私は決して不適切だとは思わない。世界の人々にとって台湾の事例が参考になるなら、貢献にもなる。悪いことではない」

「物資を浪費し、自身の感染リスクを高めているという面はあるが、一方では記者という立場で台湾の防疫システムについて記録しており、こうした記録は将来の役に立つ。また、台湾の防疫システムが優秀だからこそ彼女は台湾に来られたわけで、その意味で台湾人は誇りに思っていい。イタリアや中国大陸だったら、こんな取材はできない訳だから」

「現場主義で良いですね。台湾で隔離生活を送って良い点や悪い点を見つけ出し、台湾・日本の両政府に伝えて改善に役立てて欲しいです」