あまりにかけ離れて“楽しそう”に見えてしまった
日本語で投稿されたコメントをなだめるようなものもあった。
「メディアとしての倫理観を持って真面目にやっているなら、台湾にとっても悪いことではないだろう。台湾在住の日本の友人のみなさん、あまりイライラしないで。台湾を大事に思ってくれて、ありがとう!」
こうした賛否の声が上がっている中で、吉岡氏は<今は対象の名前を明かせませんが、事前に申し込んでいた取材が4月に予定されているために台湾へどうしても来たかったのです。『隔離』のためにきたという誤解があるようですが、のちにきちんと取材をした記事を読んでいただければご理解いただけると思います。取材の成果をごらんいただければたいへんうれしいです>(台湾「隔離」日記 3月20日)と書いていたが、その後しばらく更新が途絶え、23日になって朝日新聞はフェイスブック上で唐突に日記の終了を告げた。
さらに『隔離日記』の終了を伝える公式コメントには、「4月に予定していた取材のために18日に台湾に入りましたが、新型コロナウイルスの防疫対策に当局が懸命に取り組んでいるなか、不自由な生活を強いられている台湾の方々や在留邦人の方々への配慮に欠けた表現がありました。不快な思いをされたみなさまにご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」という言葉もあった。
確かに、コメントを振り返ってみると、台湾在住の日本人から見れば、この非常時に興味本位の旅行気分でわざわざ隔離されに来ているように見え、不真面目だと感じたのかもしれない。日頃お世話になっている台湾の人々に対して、申し訳ないという思いになったのだろう。
とはいえ、世界的に評価の高い台湾政府のコロナ対策について、新聞記者が実体験に基づいて現地レポートを書くことには、それなりに意義がある。もともと台湾に渡航する予定もあったわけで、『隔離日記』を書くこと自体は、そこまで非難されることとは思えない。ただ惜しむらくは、日記から浮かぶ吉岡氏の姿が、新型コロナで混乱する台湾の状況とあまりにかけ離れて“楽しそう”に見えてしまったことかもしれない。
【参考】
武漢肺炎》日記者訪台写「隔離日記」挨罵:別給台湾添麻煩(3月22日・自由時報)
https://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/3108732?fbclid=IwAR2HlI3mMhbBRM5MbcdvqXeGrM8LOyZcFYmqyhFI9yWRVSoPTkTtKVQ50vA
日記者闖関抵台為写「隔離日記」 遭批:丟臉丟到国外(3月22日・三立新聞網)
https://www.setn.com/News.aspx?NewsID=712229#