国がコーポレート・ガバナンスを推進
ここへきて敵対的TOBが盛んになった背景には、2015年に金融庁と東京証券取引所が導入したコーポレートガバナンス・コードの存在がある。株主のために、企業の価値を向上させることを指針として設立された。これにより、企業買収を避けるために親しい会社同士が互いに株式を持ち合うという、日本的慣習が続けにくくなったのだ。
まさに従来からの村上氏の主張を、日本の金融界が追認した格好だ。そのため、近年になって海外のアクティビストによる、日本企業をターゲットにした動きが激しさを増している。市場での評価が低い企業に投資して経営改革を要求、株価の上昇を狙っているのだ。
「村上ファンド」が完全復活!?
一連の動きと呼応するかのように、村上氏が関与する投資会社の動きも活発化している。その一角である投資会社「レノ」は、施工不良問題で揺れる不動産業「レオパレス21」の経営権を巡り、レオパレス側の全役員解任の株主提案を一時要求した。
現在、熱を帯びているのが、工作機械メーカー「東芝機械」を巡る争いだ。村上氏関連の投資会社「シティインデックスイレブンス」が1月にTOBを開始。同社株を44%まで買い増す方針だ。東芝機械は、親会社だった東芝へのニューフレアテクノロジー株の売却によって、現金が200億あまり増える見通しだ。こうした余剰資産の株主への還元などを求めている。
TOBの通告を受けて東芝機械側は、他の株主だけが行使できる新株予約権を割り当てる買収防衛策を急きょ復活させた。その導入や発動の是非を、3月27日に開かれる臨時株主総会で問う構えだ。
また、東芝機械は外為法を楯に争う姿勢も見せている。安全保障に関わる高度な機械を製造する同社は、現行法では10%以上の株を取得・保有する外国投資家は、当局への事前届出が必要。シンガポール在住の村上氏は外国投資家なので、その規定に抵触すると主張しているのだ。
そんななか、渦中の村上氏は何を考えているのか? ご本人を直撃した。