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「走る」ことと「遊ぶ」ことは、どこかでつながっていた
もう一度、自由になるためには、いったん過去の栄光を捨てることから始めるしかない。
あの記録は「なかったこと」として、また1から、ゼロから、スタートし直すしかない。
しかし、その思いを固め、実践できるまでには、かなり時間がかかった。
<努力を実現するために、人間に先天的に与えられている機能、それが遊びなのだ。>(167頁)
ホイジンガのこの言葉に『ホモ・ルーデンス』で出合った時、その言葉がとても衝撃的で、魅力的で、僕への力強いメッセージなのだと感じて感動した。
スポーツの根っこには、間違いなく楽しさと遊び感覚があるはずだ。
そして、自分が競技を続けていくためには、この楽しさを殺してしまっては絶対にだめなのだ――そう、何千回も何万回も実感してきた。けれども、それを言葉に出して肯定できたのは、この本に出合ってからだった。
僕の気持ちは大きく変わっていった。
一言で言えば、素直に「遊び的感覚」を肯定することができるようになったのだ。
僕の中で「走る」ことと「遊ぶ」ことは、どこかでつながっていた。
仕事の世界でも同じではないか。遊びで夢中になることに身を置く中で、ずっと解決できなかった問題をブレイクスルーできるかもしれない。遊びを採り入れることは、じつに賢明な生き方であるということが、この本『新装版 「遊ぶ」が勝ち』を通して伝わるとしたら本望だ。