世界中で加速している新型コロナウィルス感染の影響により、国際オリンピック委員会が3月24日に東京2020オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期を発表した。延期時期の候補として考えられるとされていたのは「今秋」「1年後」「2年後」の3つ。
「今秋」ではコロナ問題の終息が見込めない。「2年後」では延期の域を超えて別の大会になってしまう。戦争による中止は夏季では過去に3度あったが、大会延期は124年の近代五輪史において初の出来事。総論で言えば影響を受けない選手は1人もいないが、その中でも確実に影響を受けるのが、原則23歳以下でチームを構成するサッカー男子だ。
主力選手の多くが出場資格制限を超えるサッカー
東京五輪の出場資格は「1997年1月1日以降に生まれた選手」となっている。24歳以上の「オーバーエイジ枠」も最大3枠あるが、現在のU-23日本代表では主力選手の多くが出場資格制限を超えてしまう。
キャプテンを務めるMF中山雄太(ズヴォレ)や、マンチェスターシティーが保有権を持ち、守備のカナメであるMF板倉滉(フローニンゲン)、また、背番号10をつけるMF三好康児(アントワープ)や快足FW前田大然(マリティモ)といった主軸の多くが、来年は24歳になる。日本サッカー協会は東京五輪を見据えて多額の予算を組み、強化を進めてきたが、その中心にいたのは97年生まれだった。
ただ、中心選手の多くが年齢制限を超えてしまうという事態は出場国すべてに当てはまるため、何らかの措置がとられる可能性も予想される。既にオーストラリアの監督は特別ルールの適用を訴えている。
ピークをつくりあげた瀬戸大也、最高の状態をキープできるか
気持ちの整理が難しいと想像できるのは、隙のないトレーニングで競技人生のピークをつくりあげてきた選手だろう。中でも2019年世界水泳選手権で男子200mと400mの個人メドレー2冠に輝いた瀬戸大也(ANA)は、競泳陣でただ1人、東京五輪の代表に内定している。
五輪を目指すアスリートは目標から逆算した強化プログラムをつくっているものだが、瀬戸の場合はそれこそリオ五輪で銅メダルになった直後から東京五輪本番を見据え、1日単位で逆算しながら強化スケジュールを組んできた。今の最高の状態を1年先までキープできるか。