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 テニスはケガのリスクも踏まえると1年で世界ランクが一気に下がることもありえるので、大坂なおみや錦織圭も安泰ではない。ゴルフも少しの狂いが好不調を分ける競技。女子は現在、畑岡奈紗、渋野日向子、鈴木愛の3選手が出場圏内にいるが、1年後のランキングとなればこちらも先が見えない。

大坂なおみ選手 ©getty

 また、今年はオリンピックイヤーであるため、世界選手権クラスのビッグイベントを予定している競技団体はほとんどない。通常ならば五輪前年には多くの団体が世界選手権を開催しており、それが強化の場にもなっている。コロナ問題が一定の落ち着きを見せるまでは多くの競技で国際的なビッグイベントの開催は不可能であり、現在は練習にも影響が出ている。

 東京五輪で金メダル量産が見込まれる柔道は今年2月の時点で男女14階級中13階級の代表が内定し、レスリングも男女18階級のうち8階級に内定が出ている。柔道の大野将平、レスリングの川井梨紗子ら、抜きんでた強さのある選手でさえも、競技レベルを保つには相当な意識の高さが必要になるだろう。

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コンディションがベストでない選手に再調整のチャンスか

 1年の延期はリオ五輪金メダリストたちの動向にも影響してきそうだ。体操で金メダル通算3個の内村航平や白井健三、水泳の萩野公介は、昨年の世界選手権代表を逃しているが、1年後になれば再調整も可能だろう。今、31歳の内村の場合は年齢の壁もあるが、負傷を癒やして万全な体に戻す時間的猶予も生まれてきている。

内村航平 ©getty

 選考方法を巡って日本と国際組織の解釈が異なるという問題にさらされているスポーツクライミングは、代表に内定している楢崎智亜、野口啓代を除く残りの男女各1枠の争いが再び始まるようならば、活気が出てくるだろう。また、パリ五輪では除外されることになっている空手、野球、ソフトボールは、競技そのもののプロモーション期間が1年延びるという利点も生まれる。競技発展に生かすことはできそうだ。